9/15 UpDate
SAL magazineやファッション誌などのアート・ディレクションや、ナイキ・ジャパンの広告を手掛けるなど、その独自のデザインで活躍を続ける稲葉英樹。彼とオンラインマガジン『SHIFT』とのコラボレーションプロジェクト『NEWLINE』が、『NEWLINE 2』として、札幌と東京で展覧会を開催する。即興性/即時性と時代性を意識し、常に感覚的に新しさを模索する『NEWLINE』らしく、札幌展では、展覧会会場となるソーソー・カフェにて初日に開催されるオープニングイベントで、即興でタイポグラフィーを制作。それらのタイポグラフィーは、PRINT'EMの協賛によりポスターとして販売するほか、その制作模様はウェブサイトでも見られるようになり、またそこからアルファベットを元にワードやロゴタイプなどへ展開する。さらに、ビームスTとのコラボレーションTも販売する。
> 稲葉英樹 / NEWLINE 2 札幌展
Date : 2005年9月16日(金)〜30日(金) 11:00-20:00 Place : SOSO CAFE 北海道札幌市中央区南1西13三誠ビル1F Tel : 011-280-2240 Info : soso@shift.jp.org URL : http://www.shift.jp.org/soso/
> 稲葉英樹/NEWLINE 2 東京展
Date : 2005年10月21日(金)〜11月3日(木) 11:00-21:00 Place : 東京都港区三田5-2-18三田ハウス1F Tel : 03-5765-8370 Info : info@jungle03.com URL : http://www.jungle03.com
9月24日(土)より渋谷RISE Xにてロードショーされるサスペンス・ムービー『プライマー』。シェーン・カルースによる物理学と電子ノイズ、ハードSFが融合したカオティックな世界観は2004年のサンダンス映画祭で審査員大賞/アルフレッド・P・スローン賞を受賞。その『プライマー』作品中の音源を元に、7/27にファーストアルバムがリリースされた話題のエレクトロニカ・ユニットSL@yRe & The Feminine Stoolξ(スレイヤー・アンド・ザ・フェミニンストゥール)が、全く新しいオリジナルのコラボレートソング『Template for primer』を製作。グルーブ感を生かしながら、カット&ペーストを多用し、映画の世界感を感じさせるインテリジェントなトラックに仕上がっている。またHMV渋谷店、タワーレコード渋谷店・新宿店、ナディッフなど都内9店舗では、映画特別鑑賞券、コラボレートCD、オリジナル缶バッジのセットを2,000円(税込)で販売予定。
> 映画『プライマー』
Theater : RISE Xにて2005年9月24日よりロードショー(シネマテークたかさき、名古屋シネマテーク、シネ・リーブル梅田、京都シネマでも順次公開予定) 監督・脚本・編集・音楽 : シェーン・カルース 出演 : シェーン・カルース、デヴィッド・サリバン URL : http://www.primer-japan.com
> SL@yRe & The Feminine Stoolξ URL : http://www.sublimerecords.net
ドイツの伝説的インダストリアル・ロック・バンド“アインシュトルツェンデ・ノイバウンテン”の創立メンバーであり“モニカエンタープライズ”の主宰者グドゥルン・グット、ドイツの巨匠トーマス・フェルマンを中心に、ベルリンで11年にも渡り開催され続けているレギュラー・パーティー『オーシャンクラブ』が、『オーシャンクラブ・ベルリン・イン・トーキョー』として日本に初上陸。今回はジ・オーブのアレックス・パターソン+トーマス・フェルマン=ル・プティ・オーブをヘッド・ライナーとして迎えるほか、ドイツ、日本のアーティストらが集結したスペシャル・バージョンで開催。
> Date : 2005年10月9日(日) 21:00-翌5:00 Place : 代官山Unit 東京都渋谷区恵比寿西1-34-17ザ・ハウスビル Charge : adv¥4,000 / door¥4,500 Live : Le Petit Orb − Alex Patterson + Thomas Fehlmann(Kompakt/V2 JAPAN) / BUS - Daniel Meteo + Tom Thiel(ex SUN ELECTRIC) / Robert Lippok(To Rococo lot)+ Barbara Morgenstern DJ : Gudrun Gut(Oceanclub/Monika Enterprise) / Daniel Meteo(Oceanclub/Meteo Sounds) / KAITO(kompakt) / CAPPABLACK(~scape) and more Ticket : UNIT、チケットぴあ(0572-02-9999)など各プレイガイド、CISCO HOUSEなど都内レコード店などで9月15日より取り扱い中 Info : UNIT 03-5459-8630 URL : http://www.third-ear.net/oceanclub/
ロンドンを拠点として、「記憶」と「時間」をテーマに制作を続ける写真家・米田知子の新作展『雪解けのあとに』がシュウゴアーツにて開催。新作は「水」をライトモチーフに近隣の大国の思惑に翻弄されてきた歴史を持つハンガリー、そして「森」をライトモチーフにソ連から独立してまだ10数年のエストニアを撮影したもの。かつて戦闘が繰り広げられ、ついこの間まで衛兵所として使用されていた半島。異なる政治システムの不要になったイデオロギーの残像を、米田は冷静に美しくフレームに落とし込んでいる。また、これらの新作はEUジャパンフェスト日本委員会主催『Europe Today』プロジェクトの一貫として連動しており、展覧会と同時に写真集シリーズ『In-between 9 米田知子 ハンガリー、エストニア』が発売される。
> Date : 2005年9月10日(土)〜10月1日(土) 11:00-19:00 Place : SHUGOARTS 東京都中央区新川1-31-6-2F Tel : 03-5542-3468 Info : info@shugoarts.com URL : http://www.shugoarts.com
> 写真集『In-between 9 米田知子 ハンガリー、エストニア』
Release : 2005年9月10日(土) Price : ¥2,100(tax in) Format : 72ページ、168×190mm、日英バイリンガル表記 Photo : 米田知子 Design : 中島英樹(中島デザイン) 発行・発売 : EU・ジャパンフェスト日本委員会
今年で9回目を迎える世界最大規模の映像フェスティバル『onedotzero』が、好評だった昨年に引き続き今年も東京を皮切りに日本開催が決定。マイク・ミルズによるスケーターのドキュメンタリー作品、Lynn Fox・Intro・Shynolaによるミュージックビデオの上映に加え、日本のクリエイター達の新作も紹介。また今年は、U2・Massive Attack・Basement Jaxx など、大物ミュージシャン達のステージに驚きの光のビジュアル・インスタレーションを提供し話題を呼んでいる、UVAがonedotzero9の為に特別に製作した新作のライブショーも開催予定。
>Date : 2005年9月30日(金)〜10月2日(日) Place : 代官山Unit 東京都渋谷区恵比寿西1-34-17ザ・ハウスビル Line-up : wavelength 05 / wow + flutter 05 / j-star 05 / extended play 05 / lens flare 05 / Playtime: Mike Mills Music Videos / Perspective: new Directions in Documentary / Graphic cities 05 / MTVネーション(パネルディスカッション) and more Ticket : 近日発売 (チケットぴあ0570-02-9999) Info : onedotzero事務局 03-3458-9126 URL : http://www.onedotzero.jp
デザイナー自身の企画・編集・制作によって世界流通を果たしたグラフィック・メディア『NEUT.(ニュート)』が、従来の大判誌面に映像や音源、インタラクティブ・コンテンツ等を含むDVDを加え、3年ぶりに復活する。今後のデザインのあり方を模索し、提案を重ねていくためのメディアとして2001年に創刊、その後誌面での展開を休止し、実験の場を空間へ移し2003年のTDB-CE(=NEUT.004)、2004年のCET04(=NEUT.005)を経た『NEUT.』。そして今回、『NEUT.』創刊の原点に立ち帰り、改めて「物質としての紙媒体」の力を検証しながら「デザインに出来ること」を模索することを試みる。今号はテーマを「NO FUTURE WITHOUT?」とし、未来になくてはならないものは何かという問いに対する、アーティストたちの思考の先にあるものを狙う。またCET05ではエキシビションも開催。収録作品のオリジナル版、誌面と連動した映像、インスタレーションなどをNEUT.006参加アーティスト達が一同に展示。またライブやパフォーマンス、Tシャツなどの関連グッズも販売予定。
> 『NEUT.006“NO FUTURE WITHOUT ?” 』
Release : 2005年10月1日 Price : ¥3,800(tax in) Format : 192ページ、364×297mm、日英バイリンガル表記、DVD付き Artists : ADAPTER / Ages5&up / 姉川たく / 在本彌生 / ASYL DESIGN・ASYL CRACK / BEST MUSIC(小田島等+細野しんいち) / 大日本タイポ組合 / DJ子供 / ENLIGHTENMENT / Firelight / Gas As Interface / 井口弘史 / 飯田かずな / 池田晶紀 / 伊藤ガビン×タナカカツキ×千原航 withスキャナーズ for GbM / JENNA / 黒田潔 / 草野剛 / ララスー・プーポ・ラボ / 松蔭浩之 / 水野健一郎 / 生意気 / 奥定泰之+宮下亮 / PRINT'EM by 三菱製紙(ARKO,GWG,廣中薫,Maniackers Design,水野健一郎,POWER GRAPHIXX,白根ゆたんぽ)、rmrt / 齋藤奈緒子×谷本夏×石浦克(TGB design.) / 太公良+小西門 / 田中偉一郎(電通)×島本幸作(博報堂) / 点 ten_do_ten / 遠山敦 / 津村耕佑 / 宇川直宏 / 山口崇司 and more 企画・編集・制作・発行 : アジール・デザイン 発売 : 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社 URL : http://www.altdesigners.com/
> NEUT.006エキシビション in CET05 「NO FUTURE WITHOUT ?」
Date : 2005年10月1日(土)〜10日(月・祝) 12:00-21:00(月〜金) / 10:00-21:00(土・日)※最終日は18:00まで Place : 調整中(日本橋・神田近辺) URL : http://www.CentralEastTokyo.com/
未知なる才能を持ったクリエイター発掘と作品紹介の機会の創出を目的に開催されるデジタル・フィルム・フェスティバル『DOTMOV FESTIVAL 2005』。世界中から作品募集を受け付け、寄せられた作品は、ゲストクリエイターにより優秀作品を選出し、オンラインマガジン『SHIFT』のプロデュースするカフェ・ソーソーを会場にて11月1日〜30日の1ヶ月間に渡り上映される。昨年集まった作品総数は、世界33カ国から385作品。選出された作品動画はウェブでも公開され、また期間中は、関連オーディオ&ビジュアルイベントも多数開催予定。募集締切りは9月20日まで。
> Deadline : 2005年9月20日必着 URL : http://www.shift.jp.org/mov
セキユリヲが主宰する『サルビア』が服と雑貨の発表会を開催。日本の伝統的な文化と技術を使ったものづくりをする彼女たちが、新作の草木染めのオーガニックカットソーをはじめ、優れた職人の手仕事から生まれたバックや小物、セキユリヲのテキスタイルの洋服を展示。期間中には、過去のサルビアの図案をまとめたテキスタイルパネルも展示予定。
> Date : 2005年10月4日(火)〜16日(日) 10:00-20:00 Place : GALLERY it’s 東京都渋谷区猿楽町2-7シャトーソフィア(竹久ビル)6F Info : info@salvia.jp URL : http://www.salvia.jp/Δ
人種差別とは何か。真の平等とは何か。少しでも良識のある人々なら既にご存知の通り、アメリカは自らが謳いあげるような自由の国ではなく、言論の封鎖、人種差別、ありとあらゆる類の人道的崩落に満ちた、現代が歴史に誇る殺人国家だ。社会保障制度は既に崩壊し、裕福な人々でなければろくな医療を受けることもままならない。既得権益を授かった聖なる白い末裔たちは、意図的に黒い文明を教育や雇用の機会から遠ざけ、都市の片隅のゲットーに追いやり、麻薬中毒と、貧困とを与え、彼等からありとあらゆる未来を奪い続けてきた。
こうやって書いている僕が冷静でないことは分かっているが、なぜ自分が遠い場所で見知らぬ人々に対して起こっている悲劇に対して冷静さを失っているのかは分からない。僕は先進国でのうのうとした暮らしを営み、身に余る自由を享受している身だ。お気楽な奴のお気楽な悩みと言われてもしかたがない。すみません。だが沈黙が恒常的な状態となってしまう事を僕は何よりも恐れる。だから僕は情報を編纂しよう。全ての明らかな問題を打ち消す饒舌な無知を僕は何よりも恐れる。だから僕は声を獲得しようとする人間の一人として僭越ながらこの場を借りてお伝えしたい。
8月29日、アメリカ史上最大のハリケーンの一つである「カトリーナ」がルイジアナ州ニューオーリンズの80%以上を水没させた。はっきりとした数字は未だ上げられていないが、死者は「数千人」に上るとの発表。日を追う毎に老人ホームや病院などで逃げ遅れ、その場で為す術もなく死んでいった人々が発見されている。ニューオーリンズは海抜ゼロメートル以下にあり、1714年の創立以来常に水害に晒されてきた。加えて南ルイジアナの沿岸地域は地盤沈下によりここ何十年かに渡り毎年35~40平方マイルの土地が失われている。湿地帯は汚染物を濾過するだけではなく、海の縁を吸収し、今回のような嵐の堤防として機能する。数十年前ニューオーリンズ市とメキシコ湾のあいだには140~200マイルのそのような緩流河川が存在したが、現在その距離はところによっては30マイルにまで縮まっている。今回のようなハリケーンがニューオーリンズにどのような被害を及ぼすかは想像に難くなかったはずだ。財源不足を理由に(まあ州兵の1/3がイラクに派遣されているのだから、予算も人手も足りている筈がない)治水関連予算は7100万ドルほど削減され、長年老朽化を指摘されていた堤防はあえなく決壊した。事前にその危険性を指摘されていながらも、充分な注意も払われず、みすみす起こってしまった世界貿易センタービルへの旅客機テロとどこか似たところがないだろうか。自然災害だと人は言う。だが不自然なところばかりが目につくのだ。もしこれが白人が人口の大半を占める州で起きたのなら、同じような陰惨な状況になっただろうか?
ニューオーリンズの500万人の人口の70%がアフリカン・アメリカン、そのほとんどの人々が水害に対して脆弱な地域で暮らしていた。車も持たず、避難所として指定されたスーパードームに逃げ込むことの出来なかった人々は自分の家でハリケーンに臨むより他、選択肢はなかった。被災後の路上を行き交う人々の映像、それは先進国アメリカの光景ではなく、第三諸国の最も悲劇的な地域のそれのようである。食料を求め、店主の避難した食料品店を「略奪」する黒人を暴徒扱いして射殺する許可を与えられた兵士たち。「ジョージ・ブッシュはどこにいるんだ?」とカメラに向かって問う黒人青年。アメリカという国がそれまでに取ってきた政策による必然として肩をすくめてやり過ごすためには余りにも凄惨な状況だ。ハリケーンがルイジアナに到達した時、大統領はテキサスの別荘で恒例の休暇をとっていた。ハリケーン・カトリーナの被害に対する政府の対応の不手際により、米大統領の支持率は最低の38%にまで低下した。ということはそれでもなお8000万余りの人々が彼を支持しているのだ。連中の合衆国リーダーの評価軸はどこにあるのか。彼等にとってアメリカという国は何なのだろう。何のために彼等はアメリカという名のもと、一つの同じ国民としてのアイデンティティを保ち続けるのか。政治的な無力さ、日々の安寧に身を任せる惰性、国民全体が政府によるオレオレ詐欺にあっているかのような状況はいつまで続くのだろう。
グラミー賞を受賞したMC、カニエ・ウェストは米大手ネットワークNBCで放送されたカトリーヌ支援コンサートの放送で俳優マイク・マイヤーズの隣に立ち、準備されていた脚本から離れ、次のような発言をした。生で放送されていたそのフッテージをアメリカ国民の多くが目撃した。だってTVネーションだからね。
「俺はメディアが俺たちを裏切るやり口を憎んでいる。もし黒人の家族であれば、メディアは俺たちが略奪をしていると言う。もし白人の家族であれば、メディアは彼らが食べ物を探しているだけだという。知っての通り、もう五日も経ってしまっているのは、(ここに住んでいるのは)黒人がほとんどだからだ。そして俺がこう言っている事自体が偽善的なんだ。見るに堪えずテレビから顔を背けてしまうから。俺たちを助ける事もできる人々が、戦争を行っていることを知っている。(訳注:イラクではなく)もう一つの戦争を。そして政府の連中は彼等に、ここにやってきて、俺たちを撃つ許可を与えたんだ」
少し戸惑った表情をしながらもマイク・マイヤーズa.k.aゴールデン・メンバーが、「微かな、だが様々な面で、この深刻な被害は生存者がその地域にとどまり、地域を再建する意志に、不変のダメージを与えました。ルイジアナとミシシッピーに於けるスピリットの破壊が、恐らくもっとも大きな被害でしょう」と台本通りの台詞を言った直後、カメラを見据えながらカニエ・ウェストはこう言った。
「ジョージ・ブッシュは黒人のことなんて気にかけてない」
その発言があった次の瞬間、マイク・マイヤーズが何とも言えない表情でカニエを見る。カメラはすぐさまクリス・タッカーのスタジオの映像に移り、何事もなかったかにように番組は続いた。カトリーヌ支援コンサートの模様は幾度となく再放送されたが、彼がそう語ったシーンは永久にカットされたままだ。
http://www.big-boys.com/articles/kanye.html
この原稿がUPされるころには後の祭り、なのだけれども、茶番。おためごかし。へそが湯を沸かすわ。というのは総選挙の話。走り回り、声を上げ、拳を突きあげアジテートする候補者たち。はたまた、TV討論会で“激論”を闘わす党首たち。が、なんというか凡庸・茫洋。主張に大した差が感じられない。ほぼ全員が一様に掲げる「社会をよくしたい」旨の、その先の“よい社会”というのがよくわからない。あわよくば“よくした”結果のヴィジョンが“よい社会”以上の絵図を描いていない点で、どれもこれも大差ないのだ。
そうなってしまった理由は端的に言って、“ウケ狙い”である。まあ確かに、グランドセオリーが崩壊し、明快なイデオロギーが立ちゆかない昨今、いまさらラディカルなことを振りかざしても“危険”“絵空事”のレッテルを貼られてウケないばかり。それで皆一様に、なんとなくウケそうな文句を掲げつつ、槍玉に挙げた何かに対して闘っているようなフリでアピールする。といって、拉致とか外交問題とかあまり派手なことをいうと、諸関係との軋轢が発生して怖いので、角が立たなそうなことでお茶を濁す。なぜならまんべんなくウケたいから。要するにそこには、元来“社会をよくする”という言葉に含まれるラディカルな求心力がほぼ欠落しているのだ。いま政治は、主義信念からウケ狙いの新時代へ。
そしてもうひとつが、この例に限らず、現代の社会において根本的なレベルでいえること。ずばり、「ロマンがない」のだ!
ロマン。何を阿呆な。「カラテ馬鹿一代」の読み過ぎか。だがしかし。ロマンこそは向かうべき明るい未来ヴィジョンであり、社会の求心力であり、人々の精神的拠り所であった。人たるものみなロマンに心躍らせ、よりよい将来に想いを巡らし、社会変革に血潮を注いで、自らの手で未来を切りひらこうとしてきたのだ。逆にいって、現代とはロマンなき時代。明確な単線的未来像が消失した時点で、ロマンは共同幻想から個人的なプチ幸せへと雲散霧消してしまった。いまの若者は生まれた時点ですでに社会的ロマンが終わっていた世代。ニートの思い描く世界にロマンはない。ガッテン働いて開業宣言したい若者にせよ、目指すのはどれもこれもラーメン屋、という状況にロマンはない。
社会、歴史、文化。すべてにおいてロマンがあるかないかは、実は個々人の“生きざま”の問題である。特に男子。誰かに自己同一化をし、いつかはその存在を超えるべく葛藤を抱えながら邁進していく「少年ジャンプ」的成長譯なきいま、「尊敬する人物」とのアンケート回答はずばり「父親」ばかり。よくいえば現実的、けれどもちんまり。ロマンの喪失は思想信条、社会意識から、カルチャー、ごく身近にはファッションのレベルにまで影を落とす。かつて秘めたる主義主張や生きざまへと向かう信念を象徴していたファッションだが、それらロマン要素が失われた結果、ぺらっぺら、へなっへな、毎度同じことを使い回し活きネタを死滅させていくばかりのわんこそば見本市的ストリートファッション誌そのままの有様になり果てた。
そんな2005年の10月1日、東京は原宿にオープンするコンセプトショップ「TOKYO HIPSTERS CLUB」(通称T.H.C.)は、まさにファッション/カルチャーにまつわるスピリットを再び甦らせようとする試みに思える。信國太志とLutzが手がけるオリジナルアイテムなど洋服のみならず、往時のカウンターカルチャーの息吹を湛えたアートブックや、パンクの名門レーベルSKYDOGの音源(T.H.C.オープニングコンピレーションCDにはイギーポップやパティスミス、シーナ&ロケッツらが参加)も展開、壁にはパリ五月革命時のポスター、絨毯にはチェ・ゲバラの言葉やアレン・ギンズバーグの詩の一節が織り込まれ、イベントやエキシビジョンを行うフリースペースのほか、屋上にはキューバ、メキシコなど南米スタイルのガーデンカフェも併設と、まさに骨太な精神性が漂う空間になる。建築それ自体も、「格式化された伝統を小馬鹿にする」旨のコンセプトで設計された、デザイナー : トム・ディクソン初の建築作品だ。
そこから立ちのぼるもの。それは、いま若者に最も欠如しているもの=ロマンではないのか! しかも濃厚な、自らの意志をもって世界を変革していこうとする、まさに“男のロマン”なのである!! そもそもファッションであれ、アートであれ、音楽であれ、それらは本来的には社会の問題に直結する力を有していたはずだ。理想の世界を希求する想像力こそをロマンの真髄とするならば、男がロマンを抱かぬ世界に明日はない。男のロマンなくして“未来”はもはや訪れない。ファッションに、カルチャーに、政治社会に男のロマンを!!! “ウケ狙い”の猿どもを撥ねとばし、貴様だけのロマンを打ち立ててみせろ!!!! デストロイ!!!!! レヴォリューション!!!!!! そしてピカレスク!!!!!!!
……と、夜半から未明にかけて独りひとしきり騒いだのち、ふと見渡すと世間は朝。お腹が空いたので短パンにつっかけでちょっとコンビニまで朝ご飯を買いにいった。長渕剛の新曲が爆音で鳴り響いていた。
突然相手の呼び名を変える事、また普段は呼ばないのに相手をあだ名で呼ぶ事は、コミュニケーションのジャンプであると同時に、けっこう相手には警戒、さらには嫌がられるケースも多いです。これは一人称にも言えることで、僕は自分の事を小さい時から「僕」といい、就学以降、周囲が「俺」もしくは小学生特有の後ろにアクセントを置いた「オレ」と変わっていった際にも「自分を僕」としか言えませんでした。それは現在も続いています。そして両親の事も最初に呼んだ呼称、つまり未だに「おとうさん」「おかあさん」としか呼ぶことができません。「おやじ」「おふくろ」など全く不可能。またごく近しい人々でさえも名前で呼ぶことが出来ず、往々にして「あのさ」とか、「ねえ」とかの呼びかけのみでコミュニケートします。まあいいのですが。
現在SAL magazineでは書籍を作っています。『ディスクパッケージデザイン』というグラフィック書籍です。
先日、編集作業に関する連絡をメールで行なった際に、その作業の参加メンバーを「ハグトン、大覚さま、ミスチル博士の3名でお願いします」と伝えたところ、見事に反応がありませんでした。たしかに僕が勝手に呼んだ呼称であって、彼女らは決して普段そうは呼ばれていません。とはいえ、東方の三賢人のごとく日常感の無いある種のジャンプを含んだ比喩は、コミュニケーションとして突っ込みどころ満載だと思うのですが、何事もないかのように、誰もその事に一切触れようとしません。それは現在も続いています。
念のため言うと「ハグトン」はかせきさいだあ≡さんの描く愛すべきキャラクターですが、そう呼んだ対象は、おそらく世間一般で言うビューティーです。「大覚さま」は漫画AKIRAに登場するあの覚醒を待つ大覚さまで、そう呼んだ対象は、おそらく世間一般でいうプリティーです。「ミスチル博士」はミスチルの事ならなんでも知っているという、バランス感覚に優れるという意味で、そう呼んだ対象は、おそらく世間一般で言うフェミニーナです(それは軟膏)。
これは、現在の状況を表現するという以外には何の意味も無いのですが、要は編集作業の佳境です。本当にくだらない事を、心にも無い事を言ってみたりする、徹夜継続時に現れる無意味にハイテンションな、あの状態です。いままでの約800字は、一言で「とにかく忙しいのよ」と集約して言い換える事ができます。
この本はSAL magazineを作る時のテンションやもろもろの感覚で編集しています。
CDやDVDといった12cmの光学ディスクのデザインをテーマにしたもので、そのメタテーマとしては、iPod等によるデータ主体の音楽聴取や音楽ディストリビューション、そしてCDに代表されるブツとしてのパッケージの関係を考察するものでもあります。8割方は写真によるグラフィックです。リリースは11月2日。翔泳社から出ます。内容に関する詳細は次号で。
Publisher+Editor : Jiro Ohashi Editorial Staff : Azusa Iwasaki/Azusa Hitomi/Kurando Furuya/Wataru Murakami Web Engineering : Yukinori Sagara(Pre Plant) Contributer : Keita Fukasawa/Massage/nik/Naohiro Ukawa Design Adviser : Hideki Inaba
elesal/sim magazine/p rnd/shift/depot/beams T/tgb design/enlightenment/tsuyoshi hirooka/unnon/far east recording/now on media/uplink/collider/rocket/progressive form
8/15 UpDate
中目黒にあったGAS SHOPが「TRAVELLING GAS SHOP in KYOTO(旅するグラフィック・ショップ)」として京都のSfera Exhibitionにて期間限定GAS SHOPをオープン、GASプロダクツが一堂に集められる。GAS BOOK、GAS DVDの全タイトル、GAS×YOSHIDA iPodケース、HELLO GAS ART、The New Shoppingbagなど普段なかなか手に取って見る事のできないものも多数あり、GASの発信する様々な情報に触れるチャンスとなる。
> Date : 2005年7月30日(土)〜8月21日(日) 水曜日休 Place : Sfera Exhibition 京都市東山区縄手通り三条下る弁財天町17 URL : http://www.ricordi-sfera.com/ Info : http://www.hellogas.com/
恵比寿のギャラリースペース『Pハウス』が六本木に移店し、そのリニューアルオープニングとして現代美術家、飴屋法水の個展『バ ング ント展』が開催中。大友良英、椹木野衣らが参加。宣伝美術を松本弦人が手がける。
> Date : 2005年7月29日(金)〜8月21日(日) 13:00-21:00(7/29日は19:00-22:00のみ) 会期中無休 参加者 : ア ヤ ズ(展示) / オ トモ シヒ (音) / サ ラギノ (文) Place : 六本木Pハウス 東京都港区元麻布3-1-35 c-MA3レジデンス B2F Entrance : 1200円(1ドリンク付き) Info : 03-5458-3359 http://www.phouse-web.com/main/archives/000005.html
毎年東京の東側を中心とした都市を舞台に行われるフェスティバル『CET05(セントラルイースト東京2005)』が今年はさらにパワーアップして開催。街中で、アート・デザイン・建築を切り口に、展示、シンポジウム、ワークショップ、地元企業とクリエイターの共同制作のオリジナル商品の開発など、多彩なイベントを開催。街全体をミュージアム化するこのイベントの今年のテーマは『ロジカルトーキョー』。「発展する江戸・東京路地カルチャー」に注目し、このテーマに根ざした展示、イベント、シンポジウムなどを企画する。今年は、海外ジャズミュージシャンによる神田明神奉納コンサートや、全展示とプログラムを対象としたアワード『CETオープン』を開催。また現在は、普段は使われていない公共建築物を題材に、その使い方のプログラムも含めた提案を募集する建築デザインコンペティションの公募も行っている。
> Date : 2005年10月1日(土)〜2005年10月10日(月・祝) Place : 千代田区、中央区、台東区を中心としたエリアの空き物件、空き地、店舗、学校、寺社、飲食店、地下道など 参加クリエイター(予定) : ヒロ杉山、宇川直宏、草野剛、タナカカツキ、千原航、東泉一郎、松蔭浩之、井口弘史、伊藤桂司、五木田智央、津村耕佑、大日本タイポ組合、太公良、小田島等、伊藤ガビン、ADAPTER、池田晶紀、点(ten_do_ten)、ララスー・プーポ・ラボ、福津宣人、野老朝雄、ASYLDESIGN/ASYLCRACKほか(コンサート、展示、シンポジウムなどでは海外デザイナー、アーティストも参加予定) 主催 : セントラルイースト東京実行委員会 Tel : 03-3254-5070 / FAX : 020-4665-6480 Mail : info@centraleasttokyo.com URL : http://www.CentralEastTokyo.com
> CETオルタナティブ05
一般公募 : 2005年8月26日(金)まで
> CET建築コンペティション
審査委員 : 塚本由晴(アトリエ・ワン)、竹内昌義(みかんぐみ) ほか コーディネーター :馬場正尊(オープン・エー) 審査方法 : CET期間に先立ち、応募案を募集。期間中実の敷地に提出案を展示。公開プレゼンテーション及び審査会を開催。
フィギア・アーティストとしてストリートから支持を受けるMichael Lauが、NIKEとのコラボ展『Mr. Shoe Shop(Sample)』をロゴスギャラリーで開催中。Lauが創作したキャラクターMr. Shoeが、"自分のスタイルを表現するようなスニーカーをデザインし、それを世界へ向けて発表する店"というストーリーのもと、お気に入りのスニーカー『NIKE Air Force 1』をベース に100体のフィギアを制作。全て手塗りで仕上げられ、本人の直筆サインが入った特製フィギアが、シュ-ボックスと共に展示される。会場では、その中の3型を展示会のブックレット付きで販売。また、同展開催中にMr.Shoe Shop(Sample)ウェブサイトにて、オリジナルMr.Shoeをデザインする『CROSSYOUOVER』コンテストを行い、終了後Lauが選んだ優秀作品を発表する。 受賞者にはカスタムメイドのフィギアや記念品を贈呈。
> Date : 2005年8月3日(水)〜8月17日(水) 10:00-21:00(最終日は18:00閉館) 入場料 : 無料 Place : ロゴスギャラリー 東京都渋谷区宇田川15-1 パルコ パート1 B1F TEL : 03-3496-1287 URL : http://www.nike-mrshoe.jp
8月20日(土)、21日(日)の2日間、青山ブックセンター本店にてエコマガジン『ソトコト』による「ソトコト ロハスガーデン」が開催される。「ソトコト ロハスガーデン」は青山ブックセンター(通称ABC)が主催するイベント「ABCブックフェス2005」の一つで、ソトコトが注目するロハスグッズをイベント会場で紹介・販売する。GASのThe New Shoppingbag(ザ・ニューショッピングバッグ)などロハスグッズが多数販売される。
> Date : 2005年8月20日(土)、21日(日) Open : 20日(土)12:00〜18:00, 21日(日)12:00〜16:00 Place : 青山ブックセンター中庭 東京都渋谷区神宮前 5-53-67 コスモス青山ガーデンフロア(B2F) Tel : 03-5485-5511 URL :青山ブックセンター http://aoyamabc.co.jp/ ,ソトコト http://www.sotokoto.net/top.html Info : http://aoyamabc.co.jp/eventsxwin/sp20050820_2x.html
ドイツのデザインやカルチャー寄り書籍を扱う出版社・ゲシュタルテンが、この夏に続々新作をリリース中。まず、7月には白黒のみで独自の世界を表現するフランス出身・ニューヨーク市在住のストリートアーティスト・WKInteractの作品集『WKInteract Exterior - Interior Act 2』など、3タイトルをリリース。8月には、ドイツのグラフィックデザインスタジオ・HORTのこれまでの仕事や作品を集めたオリジナルブック『Hort』ほか1タイトルをリリース。また9月にはBanksy、Kaws、Kostas Seremetis、WKInteractなど多数のアーティストが勢揃いしたNYのストリート・アートブック『I NY』ほか1タイトルがリリース予定。ゲシュタルのテンホームページでは本の内容の一部をプレビューできる。
> URL : http://www.die-gestalten.jp Info : http://www.die-gestalten.jp/verlag/bookstore/index.htmlΔ
僕が彼の煙草に火を点けると、「ステージに上がる前の最後の一服だな!」と言って彼は小さく笑った。暗殺者である彼の素性を、実は僕らは驚くほどの精度で知っているのだ。大阪の海を走る水上バスを見て「宇宙船だ!」と叫んでしまう彼の想像力の痛々しさを、僕らはおぼろげながらだが理解できるのだ。立ち上がった彼はガーシャリアばりの巨躯でバックステージを横切り、ステージに向かい階段を何も言わず静かに下りていった。のを、フロアにいた僕は目撃しなかったのだった。
個人的な思いをぽつりと。恐らくSALらしい内容ではないし、Massageの一員としてこうした媒体に書くのに相応しい内容でもないと思う。だがどうせだから言ってしまおう。感傷的ではない友人の珍しく口にした「アンダーグラウンドは狭い、広い、そして一つ」という感傷的な言葉を思い出しながら。また、いつかの朝方のバック・トゥー・バックの時間帯に、狭いフロアの真ん中で、DJブースに背を向け、両腕を上げながら誰に向かってという訳でもなく、「Keep on」と言っていた誰かの気持ちに報いるためにも。その瞬間に何かが集約されている気がするのだ。僕らは暗闇を照らす光りを必要としているのではなく、暗闇を縫って肉体の外側へ伸びていく一条の光りを必要としているのだ。この世の馬鹿騒ぎの中に配置された自分という活動的な静けさを増幅すべく、五感と理性(という名の押しつけがましい狂気)をフルに発動させ、いつまでも終わる見込みのない自由研究をこつこつと進めていく。何か大きな物事の渦中にいる間は、いったいそれが何であるのか分からないものだ。後知恵は幾らでもついて回るだろう。だが今は愛撫に集中しよう。僕らの呼吸と挙動の一つ一つが、セックスに似た世界との交わりであるのだから。それは延々と続く中出しなのだ。
創造は破壊であり、破壊は創造である、というあまりにも陳腐なその組み合わせの真意を分かった気がする。それは形態の変化および、変化の形態の事を言っているに過ぎない。それは、パーティーの内側だろうが外側だろうが、当たり前のように日々行われている。政治的に沈黙させられた僕らが、ある特別ではない当たり前の一瞬の連続において、存在を賭して、続けなければならないこと。
先月の末にDeath Comet Crewという80年代のニューヨークで結成されたバンドの初の大阪公演の手伝いをした。ボディスーツやマスクを身につけていない素顔のThe Rammellzeeも同じステージに上り、マイクスタンドをビール腹に押し当てながら、しゃがれた声で歌っていた。フロアにあったのはある種の困惑。神格化され、伝説と呼び慣らされる偶像破壊主義者というのはいかがなものか、と常々思っていた僕がその夜に確認したことは、Death Comet CrewもThe Rammellzeeも終わってしまった何かではないという事実だ。Death Comet Crewのリーダー的存在であるスチュアートは「ヒップホップとは黒人にとってのパンクなんだ」と語った。では日本人にとってのヒップホップやパンクとは何なのだろう? その問いかけに対する答えを僕は未だ見つけ出していないし、そもそもそう問うことが正当なことなのかどうかも分からない。人々は一通りフォーマットの交換を行った後に、その中に自分たちのリアリティーを注ぎ込むことを覚える。またその一方で、いつの時代も天才肌の人間はおり、彼らはそのフォーマットの持つメッセージを直感的に解読し、その言語をもって自らの内なる必然性を表現することができる。当時の彼の地はヒップホップ、ハウス、ニューウェーヴ、パンクと現在のユース・カルチャーの礎となる波が集中的に押し寄せており、その動きは時を経ず大陸を隔てて世界中に飛び火した。当時のニューヨークにおける生命力に満ちた混沌を、僕は経験していないが故、それについて語る事は今は避けたいと思う。ただ言えるのは、ここ3,40年ばかり続いてきたそれらの動きは今もなお衰えるどころか、世界各地のコミュニティで自律的な発展を続けているということ。なので、この驚くべき驚異に驚いている暇はない。Death Comet Crewも、The Rammellzeeも、いまだリアルタイムで進化し続ける生身の存在だから。僕らは日々この文明社会の終焉を肌で感じながら、世界の再編成のための準備を続けているのだ。変化の日時や場所がフライヤーに記されることはないだろう。変化がそれと分かる形で訪れる確証すらないだろう。僕らに出来ることは、それぞれの生まれた日に始まった、自分と同じ名前を持つ自分というパーティーに互いを招き合い、それぞれの鼓動に合わせて踊るのだ。また、何かの拍子に音楽が止むことがあったとしても、踊ることを止めてはいけない。
> 告知
お待たせしておりますMASSAGEリニューアル1号目、9月中に皆様のお茶の間にお届け致します! 内容は、高橋透ベリーベリーロング! インタビュー、大阪発の祝祭Flower of Life大全、去年より始まったパーティーRawlife対談、ダニエル・ウォン日本滞在記、エディット新世代Homecutインタビュー、またECD、Latin Ras Kazによる連載など、間違いのない128ページ、表紙はこれまた間違いのないIPPI君のアートワークで!
新宿。夜半過ぎにバァの便所で小用を足そうとすると、いきなり背中を蹴り飛ばされ、いきおい体が便器にはまりこんで、飛び散る飛沫、罵声、そして始まる殴り合い。あるいは、映画談義を進めるうち、いつしか血みどろのどつき合い・つかみ合い・取っ組み合いの乱闘騒ぎとなり、野郎同士が絡み合ったまま木造2階の階段から転げ落ちてきて、朝。さっきまで素手ゴロの関係だった奴等が互いに肩を組んで純情な歌を口ずさみながらの家路。だがまた夜になれば、飛び交う酒瓶、床を軋ませマウントポジションを取り合うリアルシット男祭りがまた繰り返されるのだ……。
それら60年代70年代の、伝説の数々。野坂昭如、横尾忠則、唐十郎といった大御所の名前を出さずとも、熱く、男臭く、そしてどこか胸がキュンとなるような“武勇伝”の類は、広く日本の繁華街のあちこちに充満していた。だが翻って現在。猫背でダボダボの上っ張りを着込み、足を引きずるように歩く“今どきの若者”にそうした話をしたところで、引き出せる反応は「ヤバいっすね」、それしか言わない。去年までは「サムライに憧れる」とか吐かしてたくせに。脳がしぼんでいるのか。
そんな現代の若者に施すべき、とっておきの処方箋が2つある。
ひとつはまさにショック療法、「人生の刺激を求めて」70年代に単身コロンビアへと渡り、エメラルド鉱山で一から財を築き上げた男 : 早田英志の自伝映画だ。自伝といっても、誘拐、乱闘、銃撃戦に爆殺は当たり前。武装ゲリラによる支配地域が国土の2/3を占めるコロンビアでのロケにあたり、起用していた米国人俳優が揃って逃亡。結果、東洋人に外見がごくわずか似のインディオが70年代当時の早田を演じ、更に最近のエピソードについてはなんと早田自身が演じることとなった。だが今や世界のエメラルド・ビジネスのナンバー1に昇りつめた男である。4ヶ月に及ぶロケ自体が、金銭その他を目当てとする早田の拉致・監禁・殺害という危険を孕んでいた。そんな中、銃撃戦には「偽物の銃を使う方がコストがかかる」という理由から実物を使用。さらに武装ゲリラによる鉱山襲撃シーンでは、正真正銘のゲリラが敵役として出演、実に収録中のいつ射殺されてもおかしくない状況だったという。愛娘の誘拐騒動と離婚劇、10人もの武装ボディガードを引き連れての出社・執務風景、社員の裏切りによる暴動発生に対し自ら鉄拳を奮ってこれを鎮圧するなど、それぞれが濃密かつ驚愕の逸話の数々を、本人がまさに体当たりで演じている。「自分の身は自分で護るしかない」と断言し、現在ではエメラルドの輸出のほか、自ら警備会社をも営む早田。総制作費4億円(私費)、素人臭がたちのぼる構成の中に、コロンビア人から賞賛の意を込めて「サムライ」と呼ばれる彼の生きざまが生々しく刻まれた映画『エメラルド・カウボーイ』。9月にDVDが発売となるほか、8/25には「金のA様×銀のA様」(日本テレビ系列)に早田本人が特別出演、8月中の毎週金曜日にはUPLINK FACTORYにてミッドナイト上映されている。まさに“学校で教えてくれない”、というより、“教えるわけにはいかない”人生の本質がここにある。
そして、処方箋その2。いつの時代も真に創造的な文化は、それを生み出す人々の“生きざま”を通して伝えられてきた。それは“教わる”ものではなく、あくまで“学びとる”ものであり、ただそこに座るだけでなんとかなるという甘えた姿勢が蔓延した現在の学校=“School”とは、ある意味で真逆の熱気を湛えてきたのである。上で紹介した早田氏の例は極端としても、そこで必要なのは“自ら進んで挑戦していく”という姿勢なのだ。ところが、既存の“School”では、画一的なカリキュラムを定期的に注入していくだけ、いわば個性の無害化が横行している。そこで、人生を通してつねに“学び続ける”あり方を“Schooling”と名付け、新たな喜びと創意に満ちた学校〜人間像を提案していこうとする試みが、世田谷ものづくり学校でこの9月からスタートする。名付けて「スクーリング・パッド」。現在は9月の「デザインコミュニケーション学部」と「レストランビジネスデザイン学部」開講に向け、受講希望者の応募を受け付けているところだが、この両学部の講師陣も第一線で活躍中のそうそうたる本物、一筋縄ではいかない面々。彼らに接し、自分自身を売り込むべく表現をもって体当たりしていくことが可能だという。必ずや、既存の“School”では教えるべくもない、刺激と革新性に満ちた場になることだろう。
現実問題、「危険地域に渡って男を成せ」と言うのには無理がある。そんなことをしても死屍累々。人間には向き不向きがあるのです。が、それら“生きざま”に触れることで、自ら考え、為すべきことを見つけ、ある部分に特化してこれを伸ばしていく。そうだ、そうなのだ! と、とりあえず自室、男子便所で背後から蹴られた場合を想定しておもむろにローリング・ソバットを試みたところ、足先に炊飯ジャーが引っかかって側頭部に直撃、ぐわっ。倒れ伏した視界、星がちらちらして、床の上には飯が累々。うらめしい。
暑いですね。とっても喉が渇いたので、缶ジュースを飲もうと自販機に近づいたのですが、所持金が足りません。50円玉1個、5円玉5個、1円玉1個。計76円しかありませんでした。でも物凄く喉が渇いて喉の上と下がくっつきそうだったので、Tシャツの裾から糸を引っ張って取り出し、5円玉に結び付けました。
指を地面に付け、それを中心に自販機の下でビュンビュン回すと、地面から数ミリ浮いてゴミや小石を弾き飛ばします。そして100円玉や500円玉といった小銭も出てきました。いろんな自販機の下でそれをやったら、小一時間ほどで約4,500円も拾いました。
と思ったら目が覚めました。何かいい事があるかもしれません。
※THE ALBUMに関するレポートをつづった本コーナー。今回は、諸事情により、古屋蔵人(SIM)編集のパターン集「2TONE」のプロモーションとして、宇川直宏による序文を掲載させて頂きます。
ヴィクトル・ヴァザルリは、グリッドで区切られたキャンバス=<自らの畑>に、けしの花を植え、グニャグニャドロドロと視覚を歪ませ、そこに陰陽の象徴である2匹のジブラを幻影として映してみせた!!! また、ブリジット・ライリーは、ストライプが誘発する錯視体験に着目し、その生理的な効果を“多い日も安心”と言わんばかりに強調させて、網膜をエクストリームに歪ませたっっ!!!!! そして、ヨゼフ・アルバースはディストーションもディレイもフランジャーもワウも眼球に直列で繋ぐことが可能である幾何学性を発見したっっ!!!!!! これら“目くらましのトリック”のみが全開丸出しとなった 『オプアート』は、美術史からは、アウラなき汚点として虐げられ、60年代のポップ・トレンドとして、一度完全に消費された。しかし、あらゆる視覚的表現が眼球という器官に支配されている限り、我々はこの徒花達が噴射する猛毒に侵され続ける筈だっっ!!!!!!!! なぜなら、オプは発生以降、グラフィックデザインやテキスタイル、そして映像へと変幻自在に形を変え、我々の日常を侵蝕し続けているからだっっ!!!!!! 身体で唯一のムキダシた臓器である眼球は、今日もオプによって網膜を患っているっっ!!!!!!! みなさん“オプやみ”申し上げます……。
とにかく、オプアートは60年代に現象化した訳であるが、ヴァザルリは30年代後半から視覚的効果の探求に手を染めていたし、実験アニメの先駆者であるドイツのオスカー・フィッシンガーは、1929年にオプ・アニメーション『STUDY』シリーズを既に開始している。ベルディや、ブラームスのクラシカルな旋律に乗って、呼吸しながら動き跳ねるチャコール・ドローイングは、20世紀最強のハード・オプ・ミュージッククリップであると断言してもいい。また、フルスサスの一員であったディーター・ロートはアーティストブックのゴッドファーザーで、ミニマルなボーダーの型抜きや、幾何学的なエンボス、カラー・アセテートフィルムのオーヴァーラップといった、印刷技術のみをつかったオプ・ブック多数リリースし、印刷屋との共謀によるオプ・ボンテージを乱射していた……。そう、作家の意志に関らず、オプは既に世界に溢れていたのだっっ!!! M.C.エッシャーのトリックアートや、シュルレアリズムを生涯探求したサルバドール・ダリの溶解した夢想の中にオプの片鱗を見いだすことだって出来るだろう。
そして1960年代に差し掛かる頃、嘗てグラフィックデザイナーだったブリジット・ライリーは、60年代のアートシーンを、ストライプの反復というオプティカル効果によって歪ませたみせたが、そのイリュージョンは後に、一松模様とボーダー&ストライプで視覚を揺らした60's MODサイケによって大衆化されていった。そして、ここにも、そしてあそこにも、オプは世界を捻らせ、歪ませながら緩やかに侵蝕していったのだっっ!!!!!!!! そして1967年の“サマー・オブ・ラブ”を迎え、時代はサイケデリックな局面へと向っていった。ベトナム戦争への反対表明や東洋やインド哲学に対する興味、また銃を捨て花を掲げ平和を唱えたフラワー・チルドレンなど、個人意識に焦点があてられはじめた時代でもあり、当時まだ合法だったLSDは規制を受ける余地もなく浸透し、大衆を支配していた価値体系を崩壊した。そう、サイケは同じく幾何学的な視覚実験を施したムーブメントでもあったが、サイケには錯視だけではなく、インナートリップが伴う。粗雑に区別するならば精神性が欠除して、視覚的な驚異のみが突出した、白痴的なおどかしだけのグラフィック……、それこそが、オプだったのかもしれない。故に、時代はピーター・マックスの独壇場であった。そんなジオメトリックプリントとLSDでドーパミンを汁濁にさせたアシッド・サイケ、舞台を日本に置き換えるとすれば、ハプニングとハレンチに汚染された「都市と肉体」に蔓延った68年の新宿ハイミナール・サイケと、本題であるオプを繋ぐフィルターはキネティック・アートとしての“身体”だったのではないだろうかっ??
キネティックアートとは、要約すれば60年代に蔓延った“テクノロジーを背景にした動く芸術”のことである。平面絵画の運動性に着目したイスラエルの作家、ヤコブ・アガムは、キネティックアートのパイオニアの一人であるが、50年代後半の彼らの活動が、その後発生するオプアートの指針になったことは言うまでもない。そしてなぜ、サイケデリックなのか? 身体のアウトラインは究極の錯視覚運動体だと捕えることができるからだっっ!!!!! ヒッピーコミューンのヌーディズムも、MODサイケのゴーゴーダンサーもスクリーンの背後からシルエットのアウトラインのみを凝視すればそれはオプ以外の何ものでもないだろうっっ!!!! 余談ではあるが、フランスの作家アンドレ・ヴァランドは、錯視的なボーダーで仕切られたグリットに、世界各国からコレクトした乳房の写真コラージュのみを配置したアートブックを70年代にリリースしている。たわわに実った乳房が錯視覚運動体としてのオブジェであるということを既にアンドレは把握していたのか……。そう、“オッパイ”は存在自体が既に“オプパイ”足り得るのだ!!!! YESSSSSSS!!!!! オプは、ここにも、そこにも、である。
TVにも映画にもビデオにもオプは潜んでいる!!!! それがフリッカーだ!!!!!! 1997年12月16日午後6時、黎明期の迷信がまさか現代に蘇ろうとは想像もできない事件が起こった。俗にいわれる“ポケモン事件”のことである!!!!!!!! マクルーハンの理論が埃をかぶり、オプもサイケもミニマルもトランスも既に消費され、あらゆる快楽にスレてしまった現代の視聴者たちにとって、どんな視覚的な手法も、もはや革新的なトリップは得られないと思われていた矢先の出来事だった。テレビが本来持っていた明滅するオプティカル装置としてのケミカルな機能が爆発したのである!!!!!!!!!!!!!!!! テレビが視聴者に直接強い影響を与えた事例としては、古くはプロレスの“力道山 vs フレッド・ブラッシー”において、ブラッシーの噛みつきによる力道山の流血を観ていたお年寄りがバッドトリップの挙げ句オーヴァードースで死亡するというハードコアな事件があった!!! その他にも麻原のドープな顔面をサブリミナル映像として注入したTBSのオウム真理教報道汚染が問題になった矢先の出来事であった。“ポケモン事件”の真相は、承知のようにたった4秒間(コマ数にして約120コマ)のシーンが原因で、赤青のストロボ光のフラッシング(点滅)の多様と、黒味0%からの白パカとばし(フリッカー)、透過光と呼ばれる光をセルに写しこむ演出処理、そしてイマジナリーラインクラッシュ(体感位置不明状態)が及した光過敏性てんかんで、この集団発作を期に“光感受性発作”と呼称が統一されたっっっ!!!!!!!! 幼児から高校生までの子供560人以上が引き付け&けいれん等を起こして病院にかつぎこまれ、被害者は732人にまで膨れ上った!!!!!!!!!! そしてこの事件によってNHKのアニメ『YAT安心! 宇宙旅行』で静岡県内の子供4人が発作を起こしていたことも浮かび上がるに至った!!!!!!!!!!!! よってバッドトリップを誘発した『ポケットモンスター』36話の「でんのうせんしポリゴン」は、被爆宇宙人であるスペル星人が登場する『ウルトラセブン』12話「遊星より愛をこめて」のようなイリーガル・エピソードになり果てたのである!!!!! 画面の大部分を占める透過光のスペースで、赤と青のフラッシングを用いるだけで爆発表現が最も単純で最も効果のある表現あったからこそ、制作スタッフはこの手法を使用したのである!!!!! そう、“ポケモン事件”の本質は、お手軽に子供達の眼球をオプらせてあげようとしていただけに過ぎない。改めて警告すれば、フリッカー、そしてオプとは、身体、生理に対する白痴的なおどかしと、圧倒的な眼球へ向けてのショックトリートメント“ただそれだけ”なのである!!!!!!
テレビ黎明期から多様されているフリッカーは大変ポピュラーな手法であった。そして実験映画の歴史にもフリッカーの視覚的効果のみを作品にしたものも多数ある。モンタージュのすべてを否定したノン・イメージの作品(つまり点滅のみ)=トニー・コンラッドの『フリッカー』や、明滅の映画である松本俊夫『アートマン』や、ロバートフリアの作品におけるフラッシング実験がそれだっっ!!!!!! 特に当時はサマー・オブ・ラブという文化的背景もあり、ヒッピームーブメントやサイケデリックカルチャーからの影響で、ゼラチンライトやストロボなどの幻覚性の強い効果がライティングトレンドだった事情も重なり、TVアニメはアシーッッッッッドなモンタレー・オップ・フェスティバルと化していたっっっ!!!!!!!! 『巨人の星』の大リーグボール2号、すなわち消える魔球の誕生シークェンスは、フォームが完全に直線になり、バックスイングに入った瞬間数フレでブラックアウトし、そこから1分以上(不連続ではあるが)に渡るブラック&ホワイトのフリッカーが連射され、星も伴も川上監督も裸のラリーズのステージ上で投球しているかのごとくエレクトリックな衝撃に包まれガビガビだ!!!!!!! 一方『エースをねらえ !(旧アニメ版)』でも岡ひろみがレシーブをキメる度に裸のラリーズと化し(こう書くとエロい)白いスコートもオプオプでムラムラだったっっ!!!!!!!!!!!!!!!! そう、本来テレビは明滅するオプティカル・ドラッグなのである!!!!!!!!!!! そしてこれらの手法は黎明期からアニメに限らず寧ろヒーロー物特撮番組に効果的に用いられてきた。こちらはフラッシングやフリッカー的手法ではなく、グロー効果やハレーションフィルター、フレアや、透過光等を使用して作成する、プリミティブでオプティカルな、光学効果であるっ!!!!。これらが実験映画や『ビデオドラッグ』の系譜となったことは言うまでもないだろう。そう、日本特撮の変身シーンはオプ宝庫であった!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(注1〜11) 数千万色のアシィィィィッドでオプティカルなドットの集合体であるテレビに於て「でんのうせんしポリゴン」は果たして本当に“悪”だったのであろうか……。そしてポケモン事件以降、民放連(日本民間放送連盟)とNHKが映像手法に関するガイドラインを纏め、フリッカー、そしてオプ的表現の手法は、嘗てこれほど強制的な取締りはなかった程の規制を受けているっっ!!!!!!! 筆者がリリースしたDVD『ボアダムス/SUPERSEEEE!!!!!!』は、先述の“ポケモン事件”と運悪くリリース次期が重なり、規制の餌食になってしまった!!!!! しかも作品の大半がこのガイドラインに引っ掛かり、プレス工場が生産拒否したため自主規制せざるを得ない状況に晒し上げられたという苦い想い出があるっっっ!!!!! この作品は、LAのアニメーター=ブライアン・ミドキフと共に、太陽が出来るまでの様子をド・フラッシュバック的フリッカー効果で以てアニメ化したもので、太陽光のメタファーとしてその手法を取り入れるのが最も適切であるから視覚化したに過ぎない。もしこの表現を規制するのであれば太陽を直視しながら激しくまばたきを繰り返すことで起こるお手軽なナチュラル・オプ・トリップをも自主規制させるべきなのではないだろうかっ???? そののち作成した『UKAWA NAOHIRO/SCANNING OF MODULATIONS』は、モーション・コントロールシステムや最初期のIBMを使って実験をくり返したジョン・ウィットニーのアナログC.G.から、その後のビデオシンセサイザーやスキャニメイトを駆使したロン・ヘイズのビデオアートに至る"電子映像史"の筆者による今世紀的解釈だったのだが、あまりのオプ&フリッカーの応酬に、(これも当初はTV番組として放送された為)スポンサーである“HONDA”が降りてしまったっっ(汗)!!!!!!!!!!!!!!!
YESSSSS ! ! ! ! オプは、ここにも、そこにも、そしてあそこにもあるではないか!!!!!!!! ダスキンがディストリビュートする市松模様の玄関マット、コカコーラの企業CI、放送終了後のNTVのテストパターン、セントジェームスのマリン系ボーダーウェア、ヴィヴィアンウエストウッドのドットデニム、新宿副都心の超高層ビル街、ナビスコのクラッカー表面に空いた穴の集積、“黄色く”明滅する信号、遊牧する米沢牛の表皮、ヒロ・ヤマガタのレーザーショー、草間弥生のアイデンティティ……。我々の現実を支配しているビジュアルイメージは、よくみればオプだらけだっっっ!!!!!!!
般若心経における絶対の真理=「色即是空」の概念がバーチャルリアリティーを指すのは言うに及ばず、現実こそが実は最もバーチャルな空間であり、オプってオプってオプりまくった多次元の錯視に基づくリアリティを我々は獲得しているに過ぎない!!!!!!!! マンデルブローのフラクタル理論で自然界の全てを語ることが出来るのであれば、オプティカルイリュージョンの魔術でもって、現世(うつしよ)を見極めることだって出来る筈だっっ!!! そしてこのビジュアルブック『2TONE』の出版によってオプアートは摂取するだけのモノではなく、自ら密造するモノとなった!!!!!!!!!!!!! 封入されたCD-ROMをハードディスクにチューンONし、コピーライトフリーのEPSファイルを使って眼球にディレイを直列せよっっ!!!!!! 更に、アフターエフェクツでオプ・モーショングラフィックをフリッカーさせ、ジオメトリカル・イリュージョンをデスクトップから宇宙に放て!!!!!!!!! そう、この世界は「オプッたモン勝ちの世の中ヤンケ!!!!!」!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
※このテキストは以下に初出したオプアートを題材にした宇川直宏のテキスト、インタビューなどを纏め、新たにマニフェストを加えた批評集成です。
初出 : DESIGNPLEX 「SCANNING OF MODULATIONSに対するアンケート」2001.6/美術手帖 7. 2001「オプ・アートの快楽」2001.7/オプ・トランス!「宇川直宏インタビュー」東谷隆司/COMPOSITE「TVed World 2001 THE UNKNOWN HISTORY OF THE FLICKERING DRUG - 明滅するドラッグ=TVの知られざる歴史」2001.1
注※01『ファイアーマン』’73 ©円谷プロ
ステファン・ベックが創ったかのようなド・オプなコラージュ系変身シーンはブラッケージを彷佛とさせる陰陽を備えた大傑作!!!!メスカリンを摂取したかのような幻覚誘発シークェンスに低偏差値小学生視聴者の悟りが開き突如成績はオール5!!
※02『トリプルファイター』’72 ©円谷プロ
合体系ヒーロー特撮の超レア作!!! ノーマンマクラレンのパステルメソッド方式をオプチカルプリンターにかけたようなウルトラアブストラクトな合体シーンは中野裕之のアシッッッドな問題作『VIDEO DRUG2』に匹敵する程にスペースド・アウト!!!!!
※03『スーパーロボット マッハバロン』’73-74 ©東宝・NTV
ゲイリー・グリッターも失禁のグラム・ロックな主題歌は井上忠夫作曲によるモッコリな名曲!! そんな精力増強ミュージックに同調し変調するマッハ・バロンのイラストは当時まだ珍しかったマット系ビデオ合成によるエレクトロなモノ!!
※04『怪傑ライオン丸』’72-’73 ©C Pプロ
猫族特撮の老舗P-プロダクションが放った日本発の毛むくじゃら系特撮時代劇の変身シーン!! フィッシンガー並みのトライバルなドローイングOP合成。主題歌は後に大阪のフリークアウト・ユニット"ほぶらきん"に引用されスカムな運命を辿る!!!!!
※05『イナズマン』’73-’74 ©石ノ森プロ・東映
イナズマンの“超能力戦士”という異色の設定は当時ユリ・ゲラーの登場によって巻き起こっていた巷の超能力ブームとともに加速して時空間を変容せしめるハイコンな催眠効果系透過光エフェクト!! ここから真性包茎なサナギマンへと変身っ!!
※06『高速エスパー』’67-’68 ©宣弘社
東芝提供の初期空想科学特撮!!!!!! 全編を通して合成シーンは殆ど見当たらないが、フォーカスや絞り、レンズフィルターを多様したキャメラエフェクトで、光波エネルギー研究所のミュータントという設定をOPトランシーに演出!!
※07『人造人間キカイダー』’72-’73 ©石ノ森プロ・東映
マスク合成を駆使した変身シーンはポピュラーだが、ヒロポン的な覚醒を強要させられるのはやはりプロフェッサー・ギルのアジト!!!! よく考えればギルの笛に悩まされ、被害妄想に落ち入って攻撃的になり錯乱するジローの姿はシャブが切れた青年DAYONE!!
※08『宇宙鉄人キョーダイン』’76-’77 ©石ノ森プロ・東映
要所に斬新な光学OP合成がみられるアシーッッッッド大作!!!! 兄貴スカイゼル&弟グランゼルの近親相姦系ホモセクシャル合体ロボという設定もトランスジェンダっててヤバイが、固定マスクでのフリッカーをレイヤーとし、オプ合成という荒技はブッ飛び!!!
※09『キャプテンウルトラ』’67 ©東映
ウルトラマンに続く空想特撮シリーズであるが、合成シーンはチト少なめ。ただしオープニングのドローイングアニメとキャプテンのブルーバック合成はディーライトの"グルーブインザハート"を彷佛? サウンドトラックの富田勲も超次元へと誘う!!!!!
※10『ウルトラセブン』’67-’68 ©円谷プロ
モロボシダンの変身シーンでみせるコマ撮りと透過光素材の光学合成も革命的だったが今注目したいのは、砂(たぶん)でマーブリングしたウルトラセブンの逆再生モ−ショングラフィックス!!!!!!! 迷彩デザインがロゴ化する様はOPエクスペリメンタル!!
※11『クレクレタコラ』’73-74 ©東宝
ビンス・コリンズも離陸できなかった真実の忘我的ハンディキャップ・ドローイングOP合成の極北? 東? 南? 西???? 朦朧とした方向感覚と平衡感覚がサハラ砂漠と鳥取砂丘を並列し、あくまでも迷子じゃなく行方不明願望として小さな脳内をグルグル??
『2TONE Vision Warping Patterns』
> Release : 2005年9月8日(木)発売予定 Price : ¥3,800(税抜) Format : 216mm×216mm 108頁 Mac/Win HYBRID CD-ROM×1枚付(JPEG・EPS形式)Editor : 古屋蔵人 Produce : 藍風館 大前正則 ISBN : 4-86100-345-8 発売 : 株式会社ビー・エヌ・エヌ新社
Publisher+Editor : Jiro Ohashi Editorial Staff : Azusa Iwasaki/Azusa Hitomi/Kurando Furuya/Wataru Murakami Web Engineering : Yukinori Sagara(Pre Plant) Contributer : Keita Fukasawa/Massage/nik/Naohiro Ukawa Design Adviser : Hideki Inaba
elesal/sim magazine/p rnd/shift/depot/beams T/tgb design/enlightenment/tsuyoshi hirooka/unnon/far east recording/now on media/uplink/collider/rocket/progressive form
7/15 UpDate
ミュージシャン、映像作家として活躍する高木正勝による個展“Recent Works”が静岡のMixed Mediaにて開催される。昨年発表した『COIEDA』も記憶に新しい彼だが、NYや上海での個展を控えたその新作に注目したい。
> Date : 2005年7月16日(土)〜30日(土) 12:00-19:00 会期中無休(7/24のみ休館) Place : Mixed Media 静岡県静岡市日出町6-16 花城ビル1F Tel : 054-205-1105 URL : http://www.mixed-media.jp/
> Opening Reception 7月16日(土) 19:00start Entrance : 無料
8月18日〜20日の3日間、世界的クリエイター集団TOMATOによるワークショップがKDDIの企業コミュニケーション施設、KDDI DESIGNING STUDIOの施設内にて開催される。シチュアシオニストの漂流と、松尾芭蕉の漂白という2つの要素を含んだ内容となる予定。
> Date : 2005年8月18日(木)〜20日(土) 時間未定 Place : 4st. Collaboration Studio(KDDI DESIGNING STUDIO内) 東京都渋谷区神宮前4-32-16 出演 : 長谷川踏太(TOMATO) / サイモン・テイラー(TOMATO) 定員 : 15名 企画 : B2ENGINE プロデュース : GAS URL : http://www.kds.kddi.com
オンライン・マガジンSHIFTの主催するカレンダー・コンペティションが今年も開催決定。例年に引き続き開催されるこのコンペティションは、フレッシュなクリエイター発掘と活動のサポートを目的に行われ、カレンダーを媒体に世界中から広く作品を募集するもの。採用された作品はカレンダーとなり、世界中へディストリビュートされる。また今年(2006年度版)の募集から、採用作品は、三菱製紙株式会社の運営するグラフィックス作品プリントアウトセンター『PRINT'EM』の協賛により、『PRINT'EM』ウェブサイトで1年間展示・販売され、また2005年12月1日〜28日の1ケ月間、札幌のギャラリーカフェ『SOSO』に展示される。
> 募集期間 : 2005年7月1日〜9月10日 作品発表 : 2005年10月1日(SHIFT107号にて) カレンダー発売日 : 2005年10月下旬予定 作品展示及び販売 : 2006年1月5日から1年間(PRINT'EMサイトにて) 作品展覧会 : 2005年12月1日〜28日(札幌『SOSO』にて) 協賛 : PRINT'EM URL : http://www.shift.jp.org/2006/
ビジュアル・ユニットBit Rabbitの一員であり、経堂で『Gallery, Cafe & Books appel』を運営するアーティスト泉沢儒花が、代官山ユトレヒトで2度目の個展を開催。今回の展示では木箱の蓋や角材等、日常にありふれた素材にイメージを定着させ、誰もが持つ不確かで曖昧な記憶と光景を作品を通じて思い出し、共有する瞬間を創ろうと試みる。
> Date : 2005年8月2日(火)〜14日(日) 12:00-21:00 月曜定休 Place : UTRECHT 東京都渋谷区恵比寿西2-16-13-102 Tel/Fax : 03-3463-2345 URL : http://www.utrecht.jp , http://www.bit-rabbit.com Info : appel 03-5426-2411
> オープニングパーティ : 8月2日(火) 19:00-21:00 入場無料 Place : FLO Gallery(UTRECHT内) 出演 : mushpoken(泉沢儒花+奥まゆみ) / DRAGON CASTLE(高橋辰夫+柳井和城) / DJ codomo
恵比寿のギャラリースペース『Pハウス』が六本木に移店し、そのリニューアルオープニングとして現代美術家、飴屋法水の個展『バ ング ント展』が開催される。大友良英、椹木野衣らが参加。宣伝美術は松本弦人が手がける。
>Date : 2005年7月29日(金)〜8月21日(日) 13:00-21:00(7/29日は19:00-22:00のみ) 会期中無休 参加者 : ア ヤ ズ(展示) / オ トモ シヒ (音) / サ ラギノ (文) Place : 六本木Pハウス 東京都港区元麻布3-1-35 c-MA3レジデンス B2F Entrance : 1200円(1ドリンク付き) Info : 03-5458-3359 http://www.phouse-web.com/main/archives/000005.html
> オープニング・パーティー『モ ュレ シ ン』
Date : 2005年7月29日(金)19:00〜22:00 オープニング・ミニライブ : オ トモ シヒ (作曲) / イシ ワコ (笙) / chik M(サイン波)
> スペシャル・ライブ『オ トモ シヒ ビ ク ンオー ス ラ』
Date : 2005年8月12日(金)19 : 30〜 奏者 : オ トモ シヒ / アキ マテ ジ / イ ウア ヒロ / ウナ タ / オオ ニ シオ / オ ラマ ヒコ / オシマ ルユ / カワ キユ / ギモ ク / シダ ミ / chik MΔ
GASBOOKの最新号『GASBOOK20』に登場し、先日BEAMS Tで行われた展示も無事終えたWill Sweeney&Susumu Mukai。Levi's、STUSSY、GIMME FIVE、MEDICOM TOY等、多くのアパレルブランドへの作品提供や、来年はAmos Toyよりコミックブック「Tales From Greenfuzz」をリリースするWill Sweeneyと、イラストレーターとしてだけではなく、音楽プロジェクト「ゾンガミン」としても活躍中のSusumu Mukaiにメールインタビューを試みた。 (W=Will Sweeney S=Susumu Mukai)
Q : イラストレーションを始めたきっかけは何ですか?
W : 必然性…これ以外何もできないから。
S : 絵画が好きだということと、私が描くものに正直であること。
Q : 活動拠点はどこですか?普段どこで製作していますか?
W : ダルストン、東ロンドンにスタジオを持っています。あと、反社会的な気分の時は、家で活動します。
S : ゾンガミン・ダルストン・ロンドン家で。
Q : 誰か尊敬する人、もしくはアーティストはいますか?
W : たくさんいますね。今現在では、Jun TakahashiとMadsakiです。
S : 最近は、Austin Osman Spareの人生と彼の作品に興味を持っています。
Q : どういったスタンスを取って作品を作っていますか?
W : 身体的には、座って作ります。創造的なスタンスは、頭の中でどんな絵になるか想像して、この映像を現実化させようとしてます。
S : 大抵は自発的にやろうとしていますが、私の職人技能とでもいいましょうか、そこらへんも含めようとしています。それは、飽きないように新鮮な感じに保つために。寝転んでいられないときは、座って・・・
Q : GAS BOOK 20のことについてお聞きします。この本を作る、完成させた目的はなんですか?
W : 魅了させる、おもしろい、変わったものを制作するため。あと、自慢するため。
S : できるだけたくさんの作品を含めたかったです。そうしたら、再読するときに十分なディテールがあるのと、そのたび新しい発見ができるから。ですが、心の中では、私たちの個人的な本ですね。
Q : どのようにしてGAS BOOK 20を完成させましたか?いつ頃この本の制作活動を始めましたか?
W : ほとんどの作品は、なんらかの形で載せたり展示したりしたことがありますが、この本のために新作を作りたかった。今年の3月くらいから制作を始めました。
S : この本は、8年前から現在までの私たちの絵画人生の作品が紹介されています。
Q.GAS BOOK 20のコンセプトは何ですか?
W : 総合的なコンセプトはありませんが、表紙のコンセプトはオルガンを弾く狼男‐彼の奏でる音は、私たちが制作するもののよう‐狂った音楽…狼憑き。
S : たくさんの毛と尖った歯。
Q : 今後の予定はなんですか?
W : 現在は、'Tales From Greenfuzz'2とおもちゃを製作中です。あと、もっと真剣な物語を書いて、そのイラストレーションは白黒で描きたい‐Greenfuzzの逆に近いかな。
S : ゾンガミンのアルバム。Golden Ageモンスターシリーズを含めた、Alex Giomoとのプロジェクト。あと、Willの影響でコミック・ブック、図版の物語本をつくりたいです。
Questioner : Wataru MurakamiΔ
拝啓 ピーポー
今年、僕らは”zine”という媒体を始めたいと思う。
これには誰でも参加する事ができるし、そこで何をしようが自由だ。
僕らが配布するものはロゴと取りあえずのフォーマットのみ。
君たちが見つけなければいけないものは安い印刷所。またはコピー屋。
流通は僕らが引き受ける。
あとは自由にやっていこう。
徹底的に無邪気で、破滅的だが前向き。2005年時の流れはこれまでにも増してダンサブル。ようこそ、サウンドチェックを終え、デモンストレーションとなった日常へ。
僕らの背後には常に無温度のたそがれが迫り、それから逃れるようにして進む道もダンスフロアとは違い平坦ではない。しかし、僕らが超えていく千の海と、千の山の幸を喜ぶことはできる。少なくとも、この文章に含まれているような幻想を信じるうちは。
そのような幻想に基づいて、僕らは何かを表現することを欲求する。そこで形にしたいと僕らが願うものはリアルな幻想ではなく、幻想的なリアリティーだ。肉体を経由して体験することのできる夢物語、実績として積み重なっていく奇跡。日常・非日常を一緒くたにした、君の所有する現実という領分。その現実に含まれる、君の感覚器官が経験した身体の外側での出来事、またそれと並行して進む君の内側での君自身の物語。その二つが出会うための場所を作りたいと思う。それが”ZINE”だ。
これは誰でも参加する事ができるし、これを使ってどんな事をしようが君の自由だ。絵を描こうが、文章を書こうが、ステッカーをつけようが、CDをつけようが、何をしても構わない。”ZINE”の形態はそこに参加する人間と同じ数だけ存在する。僕らは流通を引き受けるが、君のローカルのレコ屋や洋服屋、カフェや自宅などで自由に配布/販売して構わない。これは北から南、東から西、日本の各地で同時に発生する手はずになっている文化的テロリズムだ。参加を表明した人々には”ZINE”のロゴと取りあえずのフォーマットが配布される。あとはそれをそのまま使おうが、分解再利用しようが勝手だ。
もうね、クリエイターであるとか表現者であるとか、そういった記号をいったん忘れ去り、表現に対する純粋な衝動とそれによって生み出されるものをDIY精神にのっとってそこらじゅうにばらまいてしまいませんか。この停滞した時代の空気を掻き乱すために、文化の地勢図を塗り替えてしまうために、それぞれの監修と責任により、ヤバいと感じる自分のアウトプットを恥じらいもなくみせてしまいませんか。もうね、(自分がそれを新しいと感じるのならば)ヌード写真集を作っても構わないわけです。”ZINE”はあなたが自分の頭の中が踊っている踊りの、そのステップを残すためのフロアです。
コンクリートの路上、盛大なる犬の糞に小旗が打ち立てられている。旗には「もっと多くの犬の糞が私たちのホテルの玄関に落ちています」のグラフィック。あるいは、「サービスがこれまでよりさらに悪くなりました!」と威風堂々、誇らしげに謳うポスター。深夜、酔っ払いが廊下の扉を拳でガンガン叩きまくり、「これが私たちのモーニングコールサービスです」とテロップが入るCM。
−−これらはいずれもアムステルダムのとある格安ホテルの広告キャンペーン。制作者はオランダを代表する広告エージェンシーのケッセルスクライマー、にわかには広告と信じ難い発想や手法に唖然とする。日本でも知られた例としてはDIESELのここ数年のワールドワイドキャンペーンなどを手掛ける彼らだが、広告以外でもドローグデザインとの一連の共働プロジェクト「do create」などの自主制作作品を展開している。例えば東京でのワールドカップ開催時に発表された「do FC」は、ぐるぐる巻き固めることによってサッカーボール、地面に貼るだけでサッカーコート、壁に貼れば大群衆、ガラス瓶などに貼ればトロフィーになる金ぴかなど各種模様のテープがセットになっており、「有名チームのようにスポンサーが付かなくても、誰でも何処でもサッカーは楽しめる」というメッセージ性を湛えたプロダクトとなっている。他にも自ら叩いて一人掛けソファをこしらえるための鉄塊とハンマーのセット「do hit」や、ブータン対モントセラートによるワールドカップ世界最下位決定戦を自ら企画しつつまとめた映画『アザー・ファイナル』(日本の映像制作会社ロボットとの共同製作)など、広告のコミュニケーション手法を用いながら分野越境、世界的な評価を築き上げてきたのであった。
そんな彼らだが、このたび日本のピエ・ブックスから作品集を刊行、その名も『ケッセルスクライマーの2キロ』。この本、kesselskramerのイニシャルKKにあやかったとかで実際に重量が2kgあり、赤褐色に塗られた直方体の外観はまさに煉瓦そのもの。本の宣伝用に作られたヴィジュアルにしても、歩道から敷石のごとく本書を取り出してみせる少年、頭部に本書の直撃を受けて倒れ伏している通行人のおばはんなどで驚愕。中身の広告作品も、上述のように見る者を「いいのか?」と思わせるものばかりで、日本であればまず代理店へのプレゼン段階でネタのみならず今後の人生までも葬列に加えられてしまいそうなスリルとインパクトの連続だ。
が、逆説的に考えた場合、この目からウロコ感こそは、自らの体にいかに”広告グラフィック”の日本的現状が染みついているか、ということに他ならない。いかに日本の”広告”が商品喧伝の操作に特化したシステムであり、いかに”消費者”が疑念を抱かぬままこのハイプな消費マルチ講に取り込まれくるくるしているか、ということがこの本により事実として逆照射、まさに2kgの鈍器となって我が頭にオランダ産直の一撃を喰らわせるのである。
事実、ケッセルスクライマー創始者のエリック・ケッセルス氏に「クライアントを納得させるコツは?」と訊くと、「広告を見る者を尊重して、事実を忠実に伝えること」との答えが返ってきた*。すべてが消費にして広告活動、幼稚園児が「お金は大事だよ」と悦び歌うこの末期資本主義社会下に、ハイプならざる”広告”が成立し、そこから人間性が立ちのぼる、という事実。翻って日本。広告シュミラクル競争”勝ち組”社屋の会議室、この本をネタ元として眺めるうちに議論が紛糾、2kgで互いの頭を殴り合う光景を思い浮かべ、独りにやりとして、そんなことだから今日も原稿が進まない。と、思わず自分の頭を殴ってみた。2kgの衝撃。脳味噌が粉っぽくスカスカと揺れた。
(*拙稿にて恐縮です、ケッセルス氏へのインタヴューは、美術出版社刊「デザインの現場」誌8月号に掲載されます)
「天才デザイナーのスケートシングに怪獣絵本をつくらせたらいったいどうなるんだろう」という編集者的興味が、まず、ありました。中村君に円谷プロとのコラボ企画をもちかけると、「円谷の画像がサンプリング・フリーで使えるなら、是非やってみたいです」と快諾。本として明確なストーリーラインを構築したかったので、元・モンスーンクルーの寸クンにテキスト面で参加を要請、快諾。スケシンの仕事部屋で打ち合わせていたとき、エイプ・サウンズの高木完さんが、愛犬を連れて現われました。「そういえば、完さん、「帰ってきたウルトラマン」でPYGの曲が使われてた話、どこかに書いてたよな」と思い出し、あとでコラム執筆を打診、快諾。こんなカンジでスルスルスルと企画が進行していきました。「メルボルンのPAMってゆう二人組が東京に来ていて、話をしたら、怪獣本に参加したがってるんですけど」という中村君からのメールで、PAMには途中から画像ファイルのやりとりで本の制作に加わってもらい、「ドンガバ」というオリジナル怪獣のコスプレ写真を披露することになりました(結局、怪獣は「ドンガバ」ではなく、「パーカモン」に変わりましたが)。
本のタイトルもコンセプトも、まだ、決まってませんでした。中村君に「なにかタイトル出してくれますか」と頼んでおくと、即座に何本もタイトルが届きました。せっかくなので記憶に残っているものを書き残しておきましょう。
「宇宙ギャング・ゼットンのベストギャングスタ・ラップ」
「怪獣バンド組もうぜ!」
「怪獣一人旅 iPODに入れて持ってく3000曲」
「怪獣ぬりえ・スタイルウオーズ・ガリバン落書きノート」
「宇宙人円盤デコトラ」
スケートシングの非凡さがよくわかりますね。そんなとき、中村君が「怪獣テディボーイ」とかいうタイトルでメールを送ってきました。(打ち合わせで話にのぼったスケートシングの愛読書のひとつ、山崎真行「TEDDY BOY」(八曜社)からの連想だと思います)。このタイトルを見て、「それなら「涙の怪獣パーティー」はどうだろうね」と提案したのです。「イイですね、怪獣パーティー」ということでタイトル決定です。ちなみに、このタイトルの由来は、レスリー・ゴーア1950年代のヒットソング「涙のパーティー」(IT'S MY PARTY)からの連想でした。ダンスパーティにひとりで参加したけれど、いっしょに踊ってくれる相手がいないの……といった内容でした。このタイトルが決まった瞬間、本のコンセプトは決まりました。リーゼントに代表される50'Sのアトミックカルチャーと80'Sニューウエイブのヒップホップカルチャーと、円谷怪獣のマッシュアップです。本の裏表紙をごらんください。ケムール星人とエアロゾルと流線型したアメ車が一同に連結されています。
> スケートシング、高木完、寸、Perks And Mini の『涙の怪獣パーティー』発売中 Price : ¥2,415 URL : http://www.ghetto.jp/shit/
初めてのケータイ
とにかくケータイを持ってるヒトはお金持ちで仕事ができて忙しい。かつての携帯電話はそんな感じだったので、貧乏で仕事が出来なくて暇な僕は、当然のことケータイを長いこと所有していませんでした。というか所有するタイミングを逸して今もPHSです。(BGM : Call Me / Blondie)
初めての旅行
海だ! 山だ! と旅行ってやたらと夏に行きますね。冬に移動するのって失恋とか逃亡とか余程ワケありな感じもするんで、夏の移動、小旅行は渡り鳥みたくDNAレベルで刷り込まれているんじゃないかと思います。で昔っから旅行の脳内BGMはコレでした。演歌っぽくてよいです。(BGM : Sailing/Rod Stewart)
初めてのCD / レコード
当然レコード世代ですよ。初めてってくらいだから当然金ないですよ。ドーナツ盤ですよ。ドーナツってあのフレンチクルーラーやオールドファッションとかじゃなく、45rpmのシングル盤ですよ。子供ってクイーンみたくドラマチックなサウンドか、もしくはゴダイゴみたくメロディアスなもんに反応するじゃないですか? バカだから。(BGM : Rasputin 怪僧ラスプーチン/Boney.M)
初めての着信メロディ
初めての着信メロディ。いい響きです。何年も前の事ですが、ケータイの変遷に異常に興味があって、原稿を書く際に色々調べた事があります。その時の資料によると、たしか世界初のビープ音の着信メロディ機能搭載機は、NTTドコモのデジタルムーバN103HYPERなんだ。それが96年の事。ケータイで聴くオシレーターサウンドは90年代のテクノの黄昏時を思い出す。(BGM : Minimoog 鋸波 /電子音/オシレーター)
初めてのパーティ / レイヴ
パーティっていえばアレだ。三角帽子被ってクラッカー鳴らしてシャンパン飲むやつだ。ん? ともかくコミュニケーションを前提としたハレの場。僕の初めてのパーティは幼稚園時代の学くんの誕生会でした。たしか。(BGM : IT'S MY PARTY/DAVE STEWART & BARBARA GASKIN)
(携帯サイト : SAL洋楽MANIAより : 改稿)
やがて観客席の照明がしだいに暗くなると、観客たちは椅子にもたれ返って、新作ミュージカルを娯しもうと身がまえた。
ところがここでグラント氏は、観客にとってまったく予想外の安っぽい外国映画を写しはじめたのだ。
映画が始まったとたんに、観客は席を立とうとした。が、なにぶん暗闇のことであり、座席がまた舷絃相摩すといったぐあいにくっついているので、大半の人びとはもとどおり着席をしいられた。というわけでフィルムは映写されつづけた。一分々々が十五分になり、その十五分がまた着々過ぎていく。当のグラント氏はとみれば、高い映写室に鍵をかけて、閉じこもり、壁から壁をぶつかりながら、大笑いに呼吸を詰まらせているという次第。
(怪船マジック・クリスチャン号/テリイ・サザーン)
アントニオーニの手にかかると、カメラのアングルと動き、フィルムのコマとその中の対象、それらの色彩や動きがーー人間であると物質であるとにかかわらずーーストーリーを語りはじめるのだった。会話はあまり重視されず、二義的なものにすぎなかった。
(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)
いい場合も悪い場合もあるが、いずれにしても、日常使っているものはすべてデザインされている。車にしても、トースターにしても、時計にしても、そうだ。アレグザンダー・グラハム・ベルがついに電話を発明したときにあったのは電話の線だけだった。
(アンディ・ルーニー)
1991年よりずっと前の話だったと思う。友人の1人が新しい“組織”を作ったのだ、と話してくれた。それは、「会社ではないが」――そこが当時の僕には曖昧だったーー「ヴィジュアル・アーティスト、クリエイターの集合体」であり、その場所で集まるみんなでクリエイティヴなことをするし、そこから出来上がったものを発信するのだ、とも言っていた。その話題の最後に友人はこうつけくわえたーーその集合体は“トマト”と呼ばれることになるだろう、おかしな名前だろう?でも、俺は気に入ってるよ、と。そして、ロンドンのソーホーに事務所(とは彼は呼ばなかった)をもう構えているのだ、ということも教えてくれた。僕たち遊び仲間は、彼らの“集合場所”が入っているビルディングを“トマト・ビルディング”と呼ぶようになった。それから、しばらくして、アンダーワールドは日本でもクラブの暗闇を好む変わり者(が行く場所だった)のものだけではなく、巨大なフェスティヴァル会場でギグを行うようになっていた。
気がつくと、ピーター・サヴィルはUKを代表するアーティストになっている。彼が1980年代にはファクトリー・レコードのグラフィック・デザインをしていたことは映画『24アワー・パーティ・ピープル』でも描かれているから、知っている人も多いだろう。1980年代には多くの新しい傾向のグラフィック・デザイン、もしくはアート・ワークが当時のアナログ盤(そしてカセット・テープ)を飾っていた。1980年代がそれまでと異なったのは、数多くのインディペンデント・レコード・レーベルが浮かんできたので、彼らは、経済的な事情から、そしておそらく“ツアイトガイスト”と呼ばれるものに従ったのだろう、それまでのロックやポップのレコードには相手にもされなかったようなデザインやアート・ワークを使うようになったのだ。これはUKだけの事情ではなく、パリとニューヨークの2ヵ所に拠点を構えていると喧伝されていたZEレコードでも同様だった。ZEレコードは、ジェームス・チャンス&コントーションズ、リジー・メルシエ・デクルー、それにクリスティーナといったアーティストの作品をリリースしており、そのアート・ワークも、評判が高かった(しかし、アーティストと問題があったことでも悪名高い)。
ヨーロッパとアメリカ合衆国だけが興味深い音楽を生んでいるのではない、と気がついていた人は、昔からレゲエ/ダブ/スカやアフロのレコードを集めていただろう。例えばレゲエ/ダブのレコード・ジャケットの魅力について、僕は何を書くことが出来るだろうか?1970年代/80年代に、タッパ・ズーキーやバーニング・スピアのレコードが(ジャマイカン・コミュニティ外部に)どれだけ異端的に見えたのか、それを説明するのは難しい。印刷のずれ、重なり、中途半端に止めてしまったように見える罫線、スナップ・ショットのようなポートレート……、それを「ありえない」と笑う者もいるが、2頁の中に47ペアーのシューズの写真を入れ込むデザインこそ、相手方にしてみたらありえなかも知れない、と少し考えてみるように。僕も人のことは言えないが、利口ぶるのは、利口ではないという督促状みたいなものだから。
クラブ、ギグ、コンサート、フェスティヴァル、音楽、映像、いや、考えて、もっと乱暴に範囲を広げると、僕たちの生はデザインされている。スーパーマーケットの照明が深夜真っ白く広がっている。そこには、「買え」と書いた品物が積まれている。
そこで、ようやく、音楽になぜヴィジュアルが必要なのか(またはその逆)が問われている。だからこそ、アーティストにとっても、それを受け取る側にとっても、今が興奮する時代なのだ。重要なのは、体験であり、それを疑似体験に近付けていくことは、冒涜だ。
え、また言い過ぎちゃってる?
> THE ALBUM (1st)
参加アーティスト : 坂本慎太郎(ゆらゆら帝国) / 無戒秀徳(ZAZEN BOYS) / 石黒景太(ex.ILLDOZER) / 井口弘史(THE BWOY) / 川元陽子 / 五木田智央 / 稲葉英樹 / Mark Mothersbaugh(DEVO) CDアルバムサウンドプロデュース : 五木田智央 Release : 2005年月6月24日 Format : 全112ページ / CDアルバム付 Price : ¥2,520 ISBN: 4-86100-333-4 アートディレクション : 井口弘史 編集企画 : 古屋蔵人 発売元 : BEAMS , BNN新社
> 今月のオマケ
THE ALBUM未収録トラック : <Track12.mp3 >( Written by 五木田智央 & THE WAF )
Publisher+Editor : Jiro Ohashi Editorial Staff : Azusa Iwasaki/Azusa Hitomi/Kurando Furuya/Wataru Murakami Web Engineering : Yukinori Sagara(Pre Plant) Contributer : Keita Fukasawa/Massage/nik/soon/hiroshi Egaistu Design Adviser : Hideki Inaba
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