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salmagazine.org 008

12/16 UpDate

contents :

/NEWS

one  ELOHA ART SHOW『1st Exhibition』

Mie ishii、fish、Kads MIIDA、Rockin'Jelly Bean、KEN THE FLATTOPの5人が、普段の作品とは違う、5人のキャラクターとしての面白さを表現する場、ELOHA。1999年に発足、2000年にフリーペーパーのELOHA REDBOOKを配布し、様々な話題に上った伝説の彼らが、初の個展とともに帰ってくる。今回の展示では、フリーペーパー“ELOHA2”の為に描き下ろされた作品を中心に、各自の背景を伝える作品も展示される。またELOHA オリジナルTシャツ、各自のオリジナルグッズ、一部の原画などの販売も行う。5人の個性が一つの空間に集い、絡み、ぶつかり合う。今年の終わりを締めくくるのに相応しいビッグなカードをお見逃し無く。

> Date : 2004年12月7日(火)〜12月26日(日) 17:00-22:00(火〜土) / 15:00-22:00(日) 月曜定休 Place : Depot Gallery中目黒 (上目黒2-43-6) Info : 03-5773-5502 URL : DEPOT(http://www.depotcrew.com)  ELOHA(http://www.eloha-web.com)

two  ゲーリー・パンター『LANDSCAPING』

80年代以降「JIMBO」や「DAL TOKYO」といったコミックに作品を発表しはじめ、86年ピーウィー・ハーマンの舞台「ピーウィーズ・プレイハウス」のアシッド感、もしくは子供の想像をそのまま形にしたようなアートディレクションで一躍成功をおさめたゲーリー・パンター。他にレッドホットチリペッパーズの1stアルバムのジャケット、また最近では60年代の伝説、フィルモのライトショーで有名なジョシュア・ホワイトとのライトショーのコラボレーションで大成功を納め、さらにウェブアニメ「PINK DONKEY」を手がけるなど、何年経っても“大人感”の漂わない作品を発表し続けている。 <http://www.funnygarbage.com/pinkdonkey/interface.html>

自身も大ファンのスケートシングの熱望によって南青山のBAPE GALLERYでゲーリー・パンターエキシビション『LANDSCAPING』が実現した。同時に彼はBAPEのアイテムをいくつも手がけており、Tシャツやパジャマ、テキスタイルなどの展開も行っている。

超豪華本「PURGATORY」も発売されたばかりの彼の今回の展覧会は、新作を中心にした意欲的な作品展。ペインティング、シルクスクリーンなど新作中心に約20点を展示販売している。

> Date : 2004年11月6日(土)〜2004年1月10日(月) 11:00-18:00 会期中無休 Place : BAPEギャラリー (東京都港区南青山5-5-8 MANIVIAビル B棟2F) Info : 03-5485-1560 URL : Gary Panter (http://www.garypanter.com/)

three  EY∃個展『GATAX』

代官山へ移転したtreesaresospecialでは、リニューアル後初展示として、ヤマタカEY∃の個展が開催中。先頃リリースした5年ぶりのニューアルバム『seadrum/house of sun』も好評なボアダムズのリーダーとして、また個人としても精力的な活動を行い、厚い支持を受けるアーティスト・EY∃。関連のリリース作品のジャケットを手掛けたり、作品集『NANOO』、『ドンデケデリコ』や大竹伸朗氏とのコラボレート作品などの著作を残したりと、その音楽と常に表裏一体のものとして、EY∃自身によるアートワークも同様の支持を受けている。今回は彼の旧作のドローイング、コラージュなどに加え、いままでにない手法の新たな作品を展示。カオティックでいてミニマル、神懸かりでいて同時代的なEY∃の世界を体験できる。

> Date : 2004年12月12日(日)〜2005年1月16日(日) 12:00-20:00 月曜定休 Place : treesaresospecial (東京都渋谷区代官山町16-4) Info : 03-3462-0952 URL : http://www.treesaresospecial.org

four  中平卓馬『なぜ、他ならぬ人間=動物図鑑か??』

シュウゴアーツにて写真家、中平卓馬の新作展を開催。中平卓馬は新左翼系雑誌『現代の眼』編集者を経て、東松照明、森山大道らとの親交を通じて写真家へ転身。68年写真同人誌『プロヴォーク』創刊。60年代後半から70年代にかけて社会が激動する時代に、評論活動と並行して「アレ・ブレ・ボケ」の手法を用いたモノクロームの作品を多数発表し、その後、77年に倒れて記憶喪失に陥った後、翌年療養を兼ねた沖縄旅行を契機に撮影行為を再開。ゆるやかに回復しながら精力的に写真を撮り続け、2003年には大規模な回顧展「原点復帰 - 横浜」を開催し話題となった。

今回の内容は、この個展のために撮り下ろしたものの中から、作家が厳選した21点で構成。中平の住む横浜周辺だけでなく、神奈川県の各所や東京で撮影されたものも展示される。<nakahira_doubutuzukan.jpg>

> Date : 2004年11月26日(金)〜2004年12月25日(土) 11:00-19:00 日・月・祝日休 Place : SHUGOARTS (東京都中央区新川1-31-6 2F) Info : 03-5542-3468 URL : (http://www.shugoarts.com/)
photo: (C)Takuma Nakahira

five  長島有里枝『not six』

若干20歳で家族のヌード写真を撮ったシリーズによりセンセーショナルなデビューを飾った写真家、長島有里枝。日常的な環境に対する等身大の眼差しを保持しつつ、同時にアメリカのスケーターカルチャーや広大な自然へと視野を広げ、確実にひとりの写真家としての成長を遂げた。

今回の展示で見せるのは、被写体(恋人、夫)と抜き差しならないもう一方の当事者である写真家(わたし)の視線。<nagashima_notsix1.jpg> <nagashima_notsix2.jpg>7年にわたって撮りつづけられた日々は、かすかな違和感と欲望のさざ波に視るものを巻き込む。写真という現在となっては古典的メディアにおいての本質的主題を硬質なアプローチで問いかける。新刊写真集の作品を中心に未収録のプリント、グラフィック・ワークも加えたアーティストによるインスタレーションを展示する。また、期間中にはトークショーも行なわれる。

> Date : 2004年12月3日(金)〜2005年1月16日(日) 11:00 - 20:00 Place : nadiff (東京都渋谷区神宮前4-9-8カソレール原宿 B1) Info : 03-3403-8814 FAX. 03-3403-8819 URL : http://www.nadiff.com/

> Gallery Talk :
2004年12月4日(土)16:00-18:00 長島有里枝+藤代冥砂
2004年12月23日(木・祝)14:00-16:00 長島有里枝+小林えりか、他(予定)
photo : (c) Yurie Nagashima

six  GAギャラリー『第13回 現代日本の建築家展 GA JAPAN 2004』

GAギャラリーでは11月3日より、「第13回 現代日本の建築家展 GA JAPAN 2004」を開催。毎年恒例のこの展示は、日本現代建築のデザイン潮流を探る展覧会として今年で第13回を迎える。日本を代表する14組の建築家による国内外で現在進行するプロジェクトを、模型、図面、映像などで紹介する。

出展建築家は青木淳、安藤忠雄、石山修武、磯崎新、伊東豊雄、北川原温、隈研吾、小嶋一浩+赤松佳珠子、妹島和世、高松伸、原広司、古市徹雄、槇文彦、山本理顕と、錚々たるメンバー。安藤忠雄氏は「hhstyle.com annex」を紹介。

> Date : 2004年11月13日(土)〜2004年12月26日(日) Place : GAギャラリー (東京都渋谷区千駄ヶ谷3-12-14) Admission : ¥500 12:00-18:30 月曜休館(月曜が祝祭日の場合は開館) Info : 03-3403-1581 URL : http://www.ga-ada.co.jp/japanese/ga_gallery/

seven  Taka Ishii Gallery クリストファー・ウール展

タカ・イシイギャラリーでは11月26日(金)から12月25日(土)までニューヨークを拠点として活躍するアーティスト、クリストファー・ウールの個展を開催。写真とペインティングという二つの異なる手段で独自の世界を表現するクリストファー・ウールの新作を展示する。<wool_painting.jpg>一次的で、複製出来ないがゆえに価値があるペインティング、一方で写真は価値が劣り、二次的な存在という両者に対する認識は以前のペインティング作品のイメージが後の作品に使われることにより見事に覆される。

タカ・イシイギャラリーでは1997年以来2回目となる今回は新作のペインティングとニューヨークにあるウールのスタジオからすぐのthe Lower East SideからChinatownにかけての印象を捉えた160点のモノクロ・インクジェットプリントのシリーズ"East Broadway Breakdown(1994-95/2002)"が展示される。

> Date : 2004年11月26日(金)〜2004年12月25日(土) 11:00-19:00 日・月・祝祭日休廊 Place : タカ・イシイギャラリー (東京都中央区新川1-31-6 1F) Info : 03-5542-3615 Fax : 03-3552-3363 E-mail : tig@takaishiigallery.com URL : http://www.takaishiigallery.com
painting : (c) Courtesy of Taka Ishii Gallery

eight  『Waist Down (スカートのすべて)』

1988年にレディースコレクションをスタートさせた「PRADA(プラダ)」、その素晴らしい軌跡の中で生み出されてきた数多くのスカートたち。「PRADA」の膨大なクリエイションの中からピックアップした美しいスカートを「動きの表現媒体」として展示するエキシビジョン、「Waist Down(スカートのすべて)」が現在PRADA 青山店で展示中。「PRADA」日本最大のフラッグショップ「プラダ ブティック青山店」「エピセンターストア」で催されるこのエキシビジョン、会場には感性をくすぐるサプライズがいっぱい。メイン会場の最上階に至る地下1階から5階のショップスペースも、エキシビションに合わせてスタイルチェンジ。青山店全体がスカートを模した空間に変貌する。青山を皮切りに、世界のフラッグショップストアを巡回する予定。スカートというアイテムの色とフォルムの美しさを堪能できる。

> Date : 2004年11月13日(土)〜2005年1月16日(日) 11:00-20:00 Place : プラダブティック青山店 6F (東京都港区青山5-2-6) Info : 0120-559-914

nine  『AVENTURES AU PAYS DES KiKi』

宇川直宏主宰のレーベル「MOM/N/DAD PRODUCTIONS」より待望の新譜がドロップ。宇川氏の凝ったデザインワークと特殊で過激な内容で、リリースごとにサプライズを与えてくれるMOM/N/DAD PRODUCTIONS。今回久々のリリースとなる『AVENTURES AU PAYS DES KiKi』(英題・ADVENTURES OF Monchhichi)と題された新作、実はあの「モンチッチ」のCDなのである。「KiKi」とはフランスでの「モンチッチ」のお名前。1974年にお人形メーカーのセキグチ社より発売され、爆発的ブームを呼んだモンチッチだが、なんとドイツやフランス、イタリア、カナダ、アメリカなど、海外の多くの国々でも大ブレイク、たくさんのお友達やグッズが誕生している。さらにはレコードがリリースされたり、アニメ化してTVでもシリーズ放映されるなど、その歴史は本が何冊もできるほど奥深く広い。そしてこのたびMOM/N/DADから、そのうち1978年にフランスで発売されていたアルバムがCDとして復活、逆輸入リリースとなったわけである。気になる内容は、子供たちの歌声がキュートなピコピコ系フレンチ・テクノポップ。3曲目の「LA CHANSON DE KiKi」(日本語訳:キキのうた)は当時「KiKi AVENTURES AU PAYS DES」からシングルカットされ、日本で言えば「およげたいやきくん」「だんご3兄弟」のように、フランスでは誰もが知っている国民的大ヒットになった。ボーナストラックには「LA CHANSON DE KiKi」シングル盤と、その後ベルギーでリリースされた同曲のモンチッチバージョン「LA CHANSON DE Monchhichi」のシングル盤音源も収録。お洒落にお茶しながら聴くもよし、親子で聴くもよし、もちろん音ネタとしてもよしの一枚。

> 『AVENTURES AU PAYS DES KiKi』 Release : 2004年11月10日(レコード店は12月頃より) Price : ¥2,625(税込み) Info・URL : http://www.momndadproductions.com/nakanaori/Δ

/FEATURES

●ELEMENTSインタビュー●

デザインの中でも家具のデザインはある意味別格だ。製品として実際に存在させなければならないプロダクトデザインは、そのデザイン性はもとより素材や機能、製造工程、そして製品の存在感までトータルに作り込まなくてはならない。衣食住の新しい価値観を模索する“ELEMENTS”は今年、イタリアの国際家具見本市ミラノサローネにその家具作品を出展、高い評価と大きな注目を浴びた。SAL magazine13号にて国内初披露となった彼らに今回メールインタビューを行った。

Q:ELEMENTSの構成メンバーについて教えて下さい。皆さんどういったキャリアで、そしてELEMENTSではそれぞれどういった事をされていますか?
A:メンバー
津村将勝:1957年生まれ。アートマニュピレーター。
(アダムエロペ、ビス、ロペ、ピクニック、マルティニーク:ショップデザイン、イメージ戦略、商品企画。
ジャスティン デイビス、サマンサ タバサ:ショップデザイン)
松本康:1973年生まれ。キャノン株式会社 プロダクトデザイナー。
相原一雅:1968年生まれ。organic design、organic cafeの経営。
各分野の真実を持った仲間の集団。衣・食・住の新しい価値観を模索する。ひとつの提案として2004年ミラノサローネに家具を出展。

Q:そうしたキャリアの皆さんがELEMENTSとして活動を始めた理由を教えて下さい。
A:家具や装飾品のデザインは過去のデザイン過程において、建築的、数学的にコントロールされ、歴史にのっとたデザインと自己表現、感性を中心としたデザインに分けられます。もちろんどちらのデザイン性も論理的思考と感性を使うのですが右脳よりか、左脳よりかに分かれることができると思います。20世紀のインテリアデザインの系譜はビトラミュージアムの椅子のカタログのように歴史的年表的な区切りでしか体系化できていなかった。

Q:SAL magazine Vol.13誌面<vol13_elements01.jpg> <vol13_elements02.jpg>に掲載されたパンフレットには製品写真とともに元素記号表があります。これはどういった意味なのでしょう? 誌面では椅子やテーブルといった家具を確認できました。これらについて具体的に説明して下さい。各製品(AURUM、ARGON、KRYPTON、ACTIUM等々)の素材、個別のコンセプト、特徴、等々。
A:20世紀までの多くの表現物を違った角度から再構成できないかと思い、元素表を基にしました。デザイン性の重さや軽さ、右脳的か左脳的か、普遍性があるのか、変化しやすいのか、等で縦軸、横軸を構成して表を作ります。この表をELEMENTSの製品に当て嵌め、オブジェ的なLanthanumCeriumPraseodymium(ミャンマーチークの一枚板で制作)は1930時代の彫刻家、アレキサンダー・ノルやウェンデル・キャステルのような位置づけを(ランタノイド)。またActiniumIridium(チーク、オーク材の角材のパッチワーク)はポストモダン的な考えで作られています。
ArgonParchementArgon-StingrayKryptonKrypton-Stingrayはチーク材、パーチメント、ガルーシャの異なった素材を用意し、建築的な要素と、1930年代のフランスインテリアデザイナーJ.M.Frankのマテリアルを応用した歴史的な連続を考えてその類にしました。

Q:一般のカジュアルな家具というよりも、とても存在感、重量感のあるプロダクト群が特徴です。家具というよりはオブジェのように見える作品もあります。このあたりはどういった考えから? ELEMENTSの考える家具とはどういったものでしょう。
A:ELEMENTSは2つのデザイン性の共生を考えます。背景に溶け込み座ったときの美しさが完成する事と、作品の存在自体を際立たせることで場を高揚させ脳裏に記憶させること。その2つともがデザインをする理由です。大量生産品、現在の製品は完成度は完璧ですがデザイナーの作り手の想念を感じる事ができないものが殆どです。我々の製品に込められた想念が存在感となっていれば嬉しいです。

Q:今年のミラノサローネに出展されたと聞いています。イタリアでの反応はいかがでしたか?
A:イタリアでの反応は素晴らしかったです。多くの方々に誉めて頂きました。ヨーロッパのギャラリスト、アーキテクチャー、デザイナー、メディアといった様々の方々に時代の分岐点での新しく正しい試みだと言って頂き、共感を頂きました。

Q:家具は生活の中で長い年月に渡って使用されるものです。家具ブランドとしてはその制作はもちろん、流通、そしてブランディングイメージの確立等も重要だと思います。立ち上げるに当たってのそのあたりの考えを教えて下さい。
A:今はまだ流通のほうで手一杯で、プランディングは為されていません。ヨーロッパではデビューし、雑誌にも取り上げられましたが、日本では『SAL magazine』が初めてですから。光栄な事です。まだ慌てず、ひとつづつしっかり、制作、流通を基本的にやっていければと思います。

Q:家具は個人住宅のリビング、オフィス、店舗、ホテル等々、様々なシチュエーションで使われます。ELEMENTS製品の想定するユーザー層はありますか? イメージするシチュエーションがあれば教えて下さい。
A:多くの方々に使って頂きたいと思いますが、我々の製品は希少なマテリアルと、手間のかかる工程で、限定数量しか作る事が出来ません。ある意味スペシャルメイドです。これらはホテル、店舗等、公共性のある特殊な場で使用されることが多いと思っております。

Q:今後の展開を教えて下さい。
A:来年4月にミラノサローネで新作発表します。新たに画家の井上隆保さんを迎え、よりスペシャルメイドを追求していきます。日本ではdepot(東京中目黒)にて一部サンプルがございます。

●James Clarインタビュー●

3D Display Cube』や『Line』といった独自のエレクトロニック・オブジェ作品を制作するニューヨーク在住のライティングデザイナー/インスタレーション・アーティスト、ジェームズ・クラー。そのユニークながら簡素な発想や、技術的な完成度の高さで各方面から注目を浴びており、札幌で開催されたデジタル・フィルム・フェスティバル「DOTMOV 2004」にも招待された。そのオープニング・イベントの一環として10月31日に行われた「SAL magazineナイト5.0」にて、自身の活動に関するレクチャーと、『Dynomite』を使ったDJセットを披露した。来日中のこの若手アーティストに、渋谷のとあるカフェで様々な話を伺った。

Q:ライティングデザインを始めたきっかけはなんですか?
A:ほとんど偶然です。光源を制御して、画家が絵の具を使うのと同じような感覚で自由に光を作り出せたらほんとうにおもしろいだろうなと思っていました。絵画のペイントは、私たちに実際見えている色だけを反射していて、それ以外の全ての色は吸収しています。絵を描くことは、この反射光を制御することです。ライティングの場合は、色自体を生み出すので、扱うことがすごくおもしろいメディアなんですよね。光源を制御することは、ビジュアルコミュニケーションの本質に触れるような行為に思えます。

Q:クラーさんの作品には、独創的な光の使い方が多いですが、インスピレーションはどういうところから得ていますか?
A:大学の学部生のときにアニメーションを専攻していて、そこで学んだのことの影響が大きいですね。アニメーションでは、ものごとを時間やフレームで考えなければいけないんです。人間の歩く速度、足が特定の位置に到達するまでの時間、あるオブジェクトが移動しきるのにかかる時間、といった具合です。時間と空間、この二つの関係を意識しなければならないんです。だからぼくの作品に組み込まれているプログラムの多くは、光のアニメーションが変化するのにかかる時間の幅を基軸にしているんです。
最近は、アニメーションのタイミングを外部の変項に委ねたりしています。変項は多くの場合音楽ですね。音楽はほんとうに好きなんで。ぼくのやっていることはエレクトロニック・ミュージックに共通する部分があるかもしれないですね。全てが時間ベースであって、反復する構造でできている。DJするときも、こういうことについて考えてなければいけないんです。

Q:クラーさんの作品はニュー・メディア、またはメディア・アートというカテゴリーで語られることが多いですよね。これらの言葉に対して、何を感じますか?
A:ニュー・メディアはウェブデザインの分野が急成長しているときに出てきた言葉なんですけど、もう古い言葉になってしまったような感じがありますよね。当時、ウェブデザインはインタラクティブ・アートと呼ばれていました。確かにインタラクティブではあったんですけど、インタラクティブという言葉は、ただ画面上で起こることよりも大きなものを指していると思います。
90年代後半、たくさんの人がFLASH作品を作っていました。その多くは、FLASHをどのように使えるかの技術的なひけらかしのようなものでした。きれいにデザインされた作品も多かったのですが、アイディアやコンセプトの工夫が感じられないものばかりでした。スクリーン・ベースの作品しか作られていない状況だったので、本当に「インタラクティブ・アート」と呼べるのか疑問を感じていました。
近頃は色々変わってきて、ニュー・メディアはもっと身体的なものを取り込んでいると思います。シーン全体が成熟してきて、アーティストたちはスクリーンに縛られずに制作することができています。表現したいことに適した媒体やアウトプットの形式について考えるのは大切なことです。最近、インスタレーション的なものなど、身体性を伴った作品を目にする機会が多いんです。ぼくのやっていることもそうですし、ヨーロッパからの作品にもすごく多いですね。日本でも最近そういう傾向があるような気がします。大学院のときの友達が何人かこっちで教鞭をとっているんですけど、学生たちにフィジカル・コンピューティングをどんどん利用していくように促してるみたいです。エレクトロニクスをもっとアーティスティックに活用することに直結しますよね。

Q:我々の生活環境とテクノロジーとの関係はこの先どういうふうに変わっていくと思いますか?
A:最近は、様々なフィールドが合流してきていることに注目しています。例えば、建築はテクノロジーをもっと取り込むようになっていくと思います。建物は、人を住まわせるだけではなく、情報をディスプレイするような機能がついててもいいじゃないですか。インタラクティブなインスタレーションや、動的な情報システムを建築に組み込んでいくことは理にかなっています。スマート・ビルディングのようなものももっと一般的になっていくと思いますよ。特にワイヤレス・コミュニケーションの技術が更に発展していったら、システムの設置が楽になるので。

Q:東京のライティングはどうですか?
ここに来るのは子供のとき以来なんですけど、照明やネオンが街中そこら中にあることは分かっていました。それにすごく期待していたんですけど、実際見てみると、ほとんどはノイズのようなものに感じました。人々の注意を引こうとしているんですが、そのやり方があまり工夫されていませんよね。街中には光がたくさんありますけど、その光の周囲も光だらけなので、明暗のコントラストが乏しいんですよね、特に繁華街なんか。これはなかなか興味深いですよね。

Q:気になるライティングデザイナーはいますか?
A:岩井俊雄は素晴らしいメディア・アーティストだと思います。ジェームズ・タレルやダン・フレヴィンもリスペクトしています。彼らはすごい昔から活動しているライティングアーティストたちで、確固とした立ち位置を築くことに成功しました。ぼくも将来、彼らのようなレベルに到達したいと思っています。プロダクトデザインだと、インゴ・マウラーが好きです。彼の作品はスタティックなんですけど、デザインがとても洗練されています。例えば、彼の作品に、台に無数のLEDを埋め込んだガラスのテーブルがあって、これはまるで天の川のようです。
自分のやっていることは、インゴ・マウラーのようなプロダクトの分野の人たちと、ダン・フレヴィンやジェームズ・タレルのようなもっとコンセプチュアルなアーティストたちとの中間点あたりに位置するように思えます。

Q:今後の予定はなんですか?
A:1月に開催されるミラノ・トリエンナーレでは、建築事務所HARIRI AND HARIRIのディスプレイとして、「Flexgrid」が衣服に埋め込まれて展示されます。この企画のコンセプトは、ファッション以外の分野からの50の集団が、与えられた二体の彫刻をそれぞれのグループのスタイルでドレスアップするというものです。アルミニウム・グループなどの音楽グループや、たくさんの建築事務所が参加します。参加グループは皆それぞれ独自のスタイルを持っているので、どういうふうにドレスアップするのか楽しみです。
2月下旬から3月上旬の間、恵比寿の東京都写真美術館で行われる第8回文化庁メディア芸術祭で「Line」が展示されます。4月にはニューヨークのチェルシー美術館で展覧会をやります。

>URL: http://www.jamesclar.com
Questioner : Ryutaro UchiyamaΔ

/ARTICLE

アンダーグラウンド思想史II
『出雲神話の極東で』
文 : 中村崇士(Collider/Massage)

シッチン(七珍)というのは、日本海から流入する海水が上流からの水とぶつかり合う、汽水湖の中海・宍道湖で獲れる魚やエビを味付けしたもの。珍しい前菜7種類でシッチン。松江城主の松平不昧は、相当に念の入った流派を編み出した茶人で、酒のつまみにシッチン文化を作り上げる、そういう教育を仕掛けたカリスマでした。お土産にぜひ。

松江から一畑電鉄に乗って行く、もしくは車でこの宍道湖を眺めながら行くという二つの方法で、出雲大社にたどり着くことが出来ますが、行きはタクシー・帰りは電鉄で行かれることをお勧めします。タクシーで右手に宍道湖を眺めながら、帰りも電車の右手に宍道湖を眺めながら。というのも、出雲というと、その名の通り“くも出ずる地”を想像しますが、実は出雲のランドスケープは水に囲まれた環境でもあり、川や日本海にまつわる神話もいくつも残されています。島根県民が暮らすというのは神話的意味付けをされた土地に暮らすということでもあります。「あの丘は誰々(神話上の人物)の首が埋まっている」「あそこは何々(神話上の道具)が流れてきた川だ」など、この地域の人は“不自由で楽しい”ところで、畏れをもって暮らしているのです。 出雲の水環境の大切さについてざっと予習しました。

さて、この地方でメインイベントとなる出雲大社については誰もが語るところなので、島根の極東の安来市というところで毎年行われる月輪(ツキノワ)祭と姫塚(ヒメヅカ)祭の伝承話をします。これも多いに神話的な要素を含んだお祭りですし、もう一つの湖である中海を取り巻くストーリーです。やすらぎという言葉が変位して「安来」という地名になったという、その地を取りまとめていた王妃の祭り。そう、安来節の安来です。姫の埋けられた塚から、西の川という、今や産業廃棄物とドブで溢れた川を通って、中海湾に注ぎます。注いだ湾には、十神山(トカミヤマ)という山がダイヤモンド型に映る、大変に静かなところです。

王妃はある日、この湾を、王と一緒に小舟に乗って釣りに出かけました。大物ねらいなのが王の王たる所以ですが、この日、王は集落で噂になっている鮫を釣ってやろうと思いました(以下おおよそメルヴィルの『白鯨(モービーディック)』と同様)。大きな餌をつけて、「引き」を待ちます。すると突然不意をついてとぼけたワニが王妃に襲いかかったのです。王はあせって愛する王妃を引き寄せようとしました。しかしワニは王妃の足をガブリ。王とワニの引き合いが始まったのです。こういうのをツナ引きならぬヒメ引きというのでしょうか。こっちが引けばあっちもムキになる、というようなやり合いがしばらく続いた後、結局王妃は片足を奪われてしまいました。夜、この中海湾に戻ると真っ暗で誰もいなかったので、王はぐったりした王妃を、地引き網漁法のようにしてズリズリと家まで引いて帰りました。おそらく王妃はその後、回復したでしょうが、当然足は戻ってきませんでした。塚に眠っている王妃にもやはり片足がありません。

現在、祭りは姫塚祭→月輪祭の順序で行われます。ワニに足を奪われた姫を祀る姫塚祭、真っ暗な浜を照らす月輪祭。このハレの日、夕闇の中海湾のダイアモンド・トカミヤマに打ち上げられる仕掛け花火は、この世のものとは思えないほど美しく、激しいものです。おそらくその音響は、この王や王妃の魂の激しさ、また、プロジェクトをやり抜こうとした功績を象徴しているのではないでしょうか。

童話や民話とは違い出雲神話は教訓じみたものがないところが特徴で、それこそ出雲風土記のように地理的な特徴を述べるだけなのですが、それがこの神話の思想でもあるのです。つまり、時代によって揺らいでいく道徳観のようなふわふわしたものではなく、地理を特徴づけるために作られた神話だからこそ、21世紀の現在でさえ、その意味や精神を、リアルに、風景として理解することができるからです。ところで、保守王国といわれる島根は、政治家を多く排出してもおり、大ゼネコンを動かして必要もない巨大な自動車専用道を県全体に横断させようとしています。出雲地方民にとってなんであれ「変化」は大歓迎で、特に経済作用をもたらすこの事業には、何の反対もない、もしくは反対の声も焼け石に水で着工されてしまいました。しかし、地理的な特徴、風景の神話が次々と壊されていくということは、伝統的な、神話上の人物を消すことになる、恐ろしくも明らかな変化を暗示しているのです。

THE POTATO
「続きはベッドの中で」
文 : 井口弘史

翌日に締め切りを控えた天気の良い日曜日、ボクは昼過ぎから机に向かってダラダラと仕事を始めていました。日中に仕事をするときに調子のいいレコードとの出会いが続いたせいもあって、ここ最近は明るい陽を浴びての作業がとてもはかどっているような気がします。そんな都合の良い出会いの一例を挙げると、BYRON LEE & DRAGONAIRESのような『REBEL』といったものとは無縁の楽しい(たのちぃ)雰囲気や、PRINCE MOHAMMEDやEEK-A-MOUSE等のOLDIES DANCEHALLをアルバムで聴くこと…まぁこの1週間はそんなカンジだ。その日もある種の勝ちパターンに頼ってBORIS GARDINERの『REGGAE HAPPENING』を聴いていたんだけど、何故かイマイチ気分が乗らない。同じように天気の良い昼間でも、平日と日曜では違いがあって当然だ、窓の外から聞こえる音だって違うわけだしね。そんなわけで空気を変える一枚を…と思い、一応REGGAE繋がりって事でMAX ROMEOの『COLLISION』というJAH SHAKAプロデュースによるKILLAな一枚に託した。そこから10枚近くのレコードをとっかえひっかえして、気が付くとPROOF OF EXISTENCEの激DUAL VOCALにボッケェ〜っと聞き入っている自分がいた。暗黒なROOTSを聴いていると、彷徨った果てに必ずCRUST方向に落ち着いている、まぁこれもある意味では必勝パターンなんだけど、正直仕事にはならない(最終的にヘッドフォンでガッツリ聴く事になるからね...)。で、壁に貼ったカレンダーを見ると今日は運良く西新宿のライヴハウス『D.O.M.』で、世界に誇る高知のD-BEATマスター、DISCLOSE( ! )のライヴがある事に気付いてしまった。正確に言えば、ずっとずっとず〜っと知っていて頭がそれで一杯だったんだけど、締め切りを控えた立場をわきまえて自粛していたってワケだ。「まぁ日曜だし…」ってカンジで開き直って行く気満々になってしまったボクは、一人で念願の初DISCLOSEを体感した。ここでレヴュー的な事を書いても無意味だから省略して、その後の仕事の話に飛びますと…さっきまで悩んでいた箇所が何だったのか? っていうカンジの驚くべき集中力によって無事『システム終了』へたどり着く事ができた。問題はココからだ。

一仕事終えて、ベッドに入る瞬間はホント何よりも最高。貴重な休みに仕事をしてしまったけれど、結果的にココにたどり着ければ何の問題もない。普段は音量を小さくして穏やかな部類のアルバムを1枚聴きながら眠るのだが、その日は真っ先に熟睡する事だけを考えて何も鳴らさなかった。静かな日曜の深夜、目を閉じて呼吸が穏やかになった所で初めてその異変に気付いた。いわゆる耳鳴りだ。しかも初めて聴く『鳴り』で、とにかくカッコイイ音なのだ。あまりに珍しい音なので、「この音をカタカナで表現するとどんな感じかなぁ…」と耳鳴りに集中してみたけれど、無理だった。ソムリエがワインをテイスティングするような瞬間に近いかもなどと考えつつ、さらにこの興味深い音に全神経を集中させた。すると追い打ちをかけるように冷蔵庫が急に音を発し、耳鳴りに被さってしまった。それでも耳鳴りと冷蔵庫の音の位置関係は異なっていて、混在してはいない事がすぐに把握できた。冷蔵庫は少しリバーブのかかった低域に、耳鳴りは中域から高域を縦横無尽に回転しながら超高速に左右のパンを繰り返している…ような気がしたり、しなかったり。ウルトラセブンの世界観がハイファイになったような…かなり危ない瞬間もあった。とにかくハーモニーが成立している事がオモシロイ。この瞬間この音を聴いていたのはボクだけなのだろうと考えると少し得した気分になった。ボクはあの音体験を、DISCLOSEのライヴのボーナストラックのような存在だったと記憶する事にした。

NEWハイプ研究所
対OLDハイプBOMBファイル#007
「『パパラギ』転じてハイプとなるかならざるか」
文 : 深沢慶太

今更ですが当研究所はメディア諸般から出て広く社会に横溢する"ハイプ"を突っつき、ほじくり、炙り出してsalmagazine.orgの俎上にて喝破する、旨の極私的機関である。だがハイプを槍玉に挙げて悦に入っている自分自身の言説もまた、メディアの性質を帯びることで即座にハイプ化してしまう。なんという必然の理か。従って、何か物事を指して「○○はハイプである」とのたまう際には必ず、自分自身のハイプ性を自省し、自らもまたハイプの徒であることを自認した上で、これを行わなければならない。"現実"が多層化しさまざまの権力作用や欺瞞性が世界のそこかしこに散逸して分子構造レベルにまで浸透してしまって以来、何かに対して意志表明をすることは、全く単純ではなくなってしまった−−メディアリテラシーが唱えるところの、メディアはすべて人為的に構成されたものであり、また、"現実"を構成するものである、このことを強く認識しなければならない理由がここにある。

で、『パパラギ』。1915年頃、南太平洋のサモアを出て、初めて機械文明の地であるヨーロッパを旅した酋長:ツイアビの言葉を、スイス人のエーリッヒ・ショイルマンが本のかたちにまとめたものだが、未開人たるツイアビがパパラギ=文明人の国で見た不可解なことどもの数々に次々と疑問を投げかけていく。貨幣経済、所有権、労働によって時間を切り売りすること、新聞メディア、そして知識について。西欧近代合理主義に根ざした価値観がグローバル化した現在に照らして、いかに社会が無数の規律的権力によって構築され、そこに隷属する"人間"存在が生み出されたのか、そのがんじがらめ化していくプロセスを想像するに恐ろしいものがある。まさに精神異常者や反社会的人間は、近代社会というシステムの確立によって生み出されたのだ。

が、本であれニュースであれブログであれ、それが何らかのメッセージ性をもって構築され、伝達されている時点で、そこには必ず複数の意図が介在し、受け手の感情や行動を操作せしめようとする作用を含んでいることを忘れてはならない。『パパラギ』にせよ、ツイアビのまなざしはある意味で非常に正しく、示唆的だが、彼とてサモアの部族社会内に構築された宇宙観を通してしか世界を認識できないのだし、それを"翻訳"した出版社の意図をも考える必要がある……という次第で、「キレイなこころのもちぬしが文明社会の歪みをみつめた本」という評判そのままを受け取るのではなく、逆にこれがなぜ、このような体裁をもって発行されているのか、それを読んでなぜ自分は、周囲はそう感じているのか、ということを考えるべきと思う。

って、別に槍玉にあげているわけではなく、これはこれでとてもいい本で、なんというか、感動した。なのだけれども、『華氏911』とか観て気勢を上げ、一方では絶対善として掲げられがちなエコロジーとか平和主義とか絡みのメディアには無条件に賛同しがちな人が多い世情に照らして、感銘にばかり浸っていられないのもまた事実。わかりやすく作られた"敵性メディア"に文句を垂れつつ、これまたわかりやすい"善"に感化されているだけじゃあんた、幾ら独自の意見をもって雑誌に執筆、ブログを開設、コメンテーター気取りで見識を露悪、社会にコミットしているつもりでも、大本営発表に一喜一憂していた頃の日本国民と大差ないんじゃないか。要は"受け手"の問題であり、幾ら"発信"側を気取ったところで、実態はメディアにヤラれ放しの羊風情に堕してしまっているのである。特に自ら"クリエイター"(=造物主)なる言葉を何の疑問も持たず使う類の人の方が根が深い。"いいこと"をしているという自負心が満たされるという理由だけで、中途半端にすぐ浅薄な"意見"を表明するな!!!! 声に出す前にもっと自分の中でよく反芻してからものをいえ!!!!!! 勉強しろ!!!!!!!! この#*@%どもが!!!!!!!!!! ぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ。……が、当研究所の構成員は唯1人。こういう時に叱ってくれる同胞がいないことを恨みつつ、独りアウトサイダーへの道を転落していくのであった。

NEWS-29
「師走の告知」
文 : NIK (PROGRESSIVE FOrM / TEI TOWA's manager)

NIKさんの連載「NEWS-29」は著者多忙のため、今月は代わって著者関連のリリ−ス情報、及びPROGRESSIVE FOrM関連のイベント情報をお届け致します。2004年はこれを聞かず(観ず)して終われません!

one  TOWA TEI / Different Nu Nu 1000 Limited picture record

daikinのエアコン『ぴちょん君』のコマーシャル音楽として2004年5月より7月までの3ヶ月間全国オンエアーされ大きな話題を呼んだ楽曲「Different Nu Nu」が、同名タイトルの<Pt.2>としてピクチャーレコードでの1000枚限定発売! そしてカップリングは、セニョール・ココナッツを含む多くの名義での多才な活動で知られ、先日の初来日公演も記憶に新しいatom™によるTR-808アシッド・セットを基調とした好リミックス! 2004年、年末を飾るに相応しい限定豪華ピクチャーレコード! ファンならずとも是非手にしたいアイテム! ステッカー付き。 また、2005年4月6日には『Last Century Modern』(1999)以来約6年振り、「Different Nu Nu」フルヴァージョンを含むTOWA TEI名義での4thソロ・アルバム『FLASH』が、V2より発売決定!

> Date : 2004年12月25日(土)発売
side A: TOWA TEI / Different Nu Nu (Pt.2)
side B: TOWA TEI / Different Nu Nu (atom™ remix)
Format: 7inch picture record Serial : FDEP-04001 Price : ¥1,575(with Tax) URL : TOWA TEI (http://www.towatei.com) atom™ (http://www.atom-heart.com)

two  パラード・エレキテル

'02年、高橋幸宏と細野晴臣により結成されたSKETCH SHOW。YMO散開から20年。2人が久々に手を組んで紡ぎ出される新鮮なサウンド に、内外の音楽シーンから熱い注目が集まっている。今回のライブではスペシャル・サポート・メンバーとしてコーネリアスこと小山田圭吾を迎え、ヴィジュアルは気鋭のアーティスト黒川良一が担当。RADIQ名義で"GRAFFITI & RUDE BOY '67"をリリースしたばかりのパリ在住のYoshihiro HANNOは、今回のイベントのためにゲストに原田郁子(クラムボン)等を含めた大編成のグループを組んで参加。アルバム"simply funk"のリリースやSKETCH SHOWのリミックス・ワークでも話題になった、同じくパリを拠点にヨーロッパ各地で活躍するAOKI takamasa は、ストレートに一人でステージに挑む。新しいエレクトロニック・ミュージック・シーンから、次世代のサウンドの指針を示してきたアーティストたちが会する、超豪華イベント。これは絶対見逃せない!!

> Date :2004年12月18日(土)開場18:00 開演19:00〜 Place : 恵比寿ザ・ガーデン・ホール Ticket :¥7,350(前売り、税込み、自由) URL : 恵比寿ザ・ガーデン・ホール (http://www.gardenplace.co.jp/hall) Cast : SKETCH SHOW (Yukihiro Takahashi、Haruomi Hosono)、Keigo Oyamada、Yoshihiro HANNO、AOKI takamasa, Ryoichi Kurokawa and more

Isn't it
「 PUNK 球根」
文 : SHiURA

ある晴れた日、ぶらりと園芸ショップに入り物色していると、自分の視界の片隅に見なれない物体が飛び込んできた。 園芸ショップのラインナップからは、あきらかにアナーキーな流れとヴィジュアル! なんだこれ? なんかヤバくないっすか?いいかも? 欲しいかも!<shiura_01.jpg>

と4段階に俺の心を刺激するニクイヤツ!<shiura_02.jpg> そういえば、昔こんなのあったな〜とニヤニヤしながら表示を読むと、ふたを開け水を注ぎ、3日放置すれば出来上がり!カップメンの様な手軽さ。おまけに髪型自由と表記してるわりには、直毛でモヒカンにしかならないバカっぷり! 「おまえのPUNK魂 俺が買った!」と心の中でつぶやき思わず購入。<shiura_03.jpg>

その後、今ではPUNK魂もすっかり落ち着き、年老いてしまったアイツがベランダに転がっている。なんか球根って響きって新鮮♥

txt.Archives
『ケータイを巡る○×△。』
文 : 大橋二郎

かれこれ10年ほど前、携帯電話がシンプルに「ケータイ」となった時点で、これは単なる通信機器であることもやめた。そして物質的基盤から離れた抽象概念としてのケータイ(kei-tai)が生まれた。

電車の中で携帯電話を使っている時のまわりからのあの視線は、いつからだろう? ここ数年は急速に普及し今や日本の20代のほぼ100パーセントが所持するこの携帯電話だけれど、この怒濤の普及スピードは、かつてのアナログレコードがコンパクトディスク(CD)に置き換わった時の勢いを越えていた。街の公衆電話の事実上の消滅は電話というアクセスポイントの消滅ではなく、「公衆」の消滅であろう。実際「電話」自体は激増した。

公的なものと私的なものの境界はやはり厳密だ。電車という公衆(公共)空間での個人的な行為はまわりから攻撃される。電車の中でモノを喰うにしても、長距離列車の対面ボックスシートでの駅弁ならば了解事項だが、山手線のベンチシートで弁当を喰っていたのでは、それは冷やかな視線に晒される。これは混み具合や迷惑の度合いではない。平気で私的な行為に及ぶことへの畏れからくる嫌悪だ。第一モノを喰うという行為、口という穴にモノを入れる行為はやはり破廉恥で艶めかしい。「食堂」という了解事項が働かない場所でそれをやるのはやはりタブーとみられる。

路上でゴザを拡げて宴会をすれば、たいていは近所の家々から苦情が寄せられ、まず確実に警察がやってくる。それが3月下旬の一瞬間だけ許されるのは「花見」という了解事項があるからだが、そうした非日常は別として、ベタベタ日常の公共空間としての電車での携帯に、まわりが容赦なく浴びせるあの視線は、遡ればウォークマン以来といっていい。

ウォークマンの場合はヘッドフォンから漏れる騒音が迷惑であるというのが理由だが、それは建前である。漏れる音が周波数的に耳障りというのもあるけれど、他に溢れる騒音に比べれば殊更それだけを理由にするには無理がある。ヒトの耳は意識によって特定の音を選り分けて増幅する利己的アンプだから堪らない。あくまでその場に居合わせた者が共有できない私的な音楽に没入するその様が嫌悪の対象となる。当時は首振ってリズム取って鼻歌うたってフンフンフンが脅威だったのだ。ヘッドフォンを装着せずにこれをやったのではキ○ガイだが、逆に今はヘッドフォンがあるから了解できる。それも電波と呼ばれる天上の音楽に感応しているわけではないという安心感である。

音楽をモバイルするメディア、携帯オーディオの初期のものはトランジスタ・ラジオあたりだろうか。かつてRCサクセションが『トランジスタ・ラジオ』という唄を歌ったが、あの小さな形状に加えて電波によるソフトウェア供給という点では、懐メロ的モチーフとは別に、実は極めて今日的かも。

未来的な携帯オーディオが単なるモックアップではなく、実際の商品として存在するためには音楽供給メディアのコンパクト化は必須。それはあくまでメディアのコンパクト化であって高音質化は必ずしも必要ない。音楽制作現場でかつてのカセットMTRからHDレコーダーとなり、16ビットから20ビット、そして24ビットへとオーディオデータのハイレート化も進んだが、それがリスナーの切実な要請であったかと言えばまた違う。音質はどうでも良いのだ。

かつてウォークマンでカセットテープを聴いた時のあの生々しい臨場感には子供心に腰が抜けたものだ。一体誰がカセットの音が悪いと言ったのか? ヒトの視聴覚能力の拡張ではなく問題はメディアの形状と特質である。

90年代初期に携帯電話が登場した際には「いったいどういう人間が使うんだ?」というくらいにデカくて重かった。バッテリーの保ちも極端に短く音声も不鮮明、やまびこ状態のディレイでは会話も弾まない。そして通話料もバカ高かった。当時こんなものが一般に普及するとはまず思えない代物だったけれど、その最初期は自動車電話、無線移動電話というあくまで「装備品」であって、携帯する電話というニュアンスとは少し違った。当時景気が良かったこともあり、金に余裕のあるエクゼクティブが手にすることでステイタスが得られた時代だ。

その後、急速にサイズは小さくなり、バッテリーの保ちも良くなって「携帯電話」となったのだけれど、その所持者はまだ圧倒的に大人の男だった。見栄に突き動かされるステイタスの時代はそう長くは続かず、広く一般に浸透するには女子供の参入を待たなくてはならない。実際この時期の携帯電話は黒く無骨なもの一色で「男の持ち物」という匂いをぷんぷん放っていた。

90年代中後期はアナログセルラーの時代である。そしてこの時期、女子供はなにを使っていたかといえば、携帯電話ではなくポケベルとPHSである。本体も通話料も安く、小さくて軽い実用的なこれらの機器が登場する頃には、ケータイはデジタルネットワークの時期に入る。

この頃の携帯電話も、まだまだ仕事の道具というニュアンスが色濃く、「携帯=仕事バリバリ」という図式もまだギリギリ成り立った。対してポケベルやPHSでなされる会話は友人同士の恋愛相談だの、うまい店情報だの、試験情報の交換などといったプライベートなもの。前者が公的な会話なのに対して、後者は私的な会話である。大の男が携帯ではなくPHSなどを所持していようものなら、それはオカマか貧乏人(まだまだ携帯電話の値段は高かった)と見られた。男なら携帯電話である(であった)。

こうした端末機器に対するヒエラルキーは、携帯通信機器自体がまだメディアには成り得ておらず、その価値は「ケータイ」という概念よりもモノ自体が単体で持つ値段や性能、機能の商品性に依っていた。所有するという物質的利害に不平等があったわけで、かつてのウォークマンが備えていたメディア性とは異なるものだった。

世界のケータイ先進国は、現在北欧と日本をはじめとしたアジア地域だが、これはけっこう興味深い。通常この手のテクノロジーとビジネス動向は、これまでほとんどアメリカが主導してきた。PCもインターネットもそうである。しかしこのケータイの動きに関してはアメリカは蚊帳の外といっていい。

北欧といえばプロダクツデザインの伝統地域、PAN SONIC等ピーガガガーの電子音響系の総本山、Linux(開発者のひとりLinus Torvaldsは当時ヘルシンキの学生)等ソフトウェアの発祥の地。そしてノキア、エリクソンを擁する携帯電話大国である。日本はといえば90年代に入ってMacによるグラフィックデザインが開花、テクノを支えた電子楽器の産地、ファミコンを生んだ国、ウォークマンを生んだ国。そして10割近い普及率を誇る携帯電話大国である。どちらも資源が不足している分、何に活路を見いだすかという意識がどこかに根を下ろしているのかも。
(初出 : 『広告』2000年5+6月号 博報堂/加筆修正)

名曲のALBM(全5回)
「 ノイズ/エンターテイメント」
文 : 古屋蔵人(SIM)

まずはこの音源を大音量で聞いてください。

<dj_manji.mp3>

これは11月2日、大阪のパワースポット「鶴の間」で行われたロスアプソン主宰のイベント「Return of Gold Damage」でのDJ卍こと五木田智央のプレイ。早朝6時、前日深夜から散々飲みまくった五木田さんがやらかした本人記憶吹っ飛び時の音源。ちなみに「フゥーッ! マンジィィィィー! マンジィィィィー!」と絶叫してるのは中原昌也、フロアではEYヨと上半身ハダカの宇川直宏が踊り狂ってたらしい。濃密なメンツによる濃密な瞬間の記録。

朝の6時、記憶が吹っ飛ぶくらい酔っぱらった五木田さんがたった2枚のレコードでどうやってこんな音を奏でたかは謎、少なくともキングギドラの咆哮ライクなトラックはこの世に存在しないはずだから、うっすらとした自我でもって五木田さんはミキサーのつまみをいじっていた意図的なプレイではあるのだと思う。まぁ、ソファーに寝転がってリラックスしながら聞くような生易しい音じゃないけれど、これぞ五木田ディレクションっていう感じだし、彼の作品同様すばらしくて、狂ってて、ノイジーで、突き抜けてる。なぜか、この壮絶なトラックを前にして客がみんな楽しそうでしょう?

家で一人で過ごすのが基本の自分にとって、パーティーな空気には一歩引いちゃうんだけれど、こういう圧倒的なアイコンを前にしてのフロアは楽しい。実は僕が編集しているSIM magazine名義でのイベントは一回もやった事が無い。"お金を払ってもらった人々を満足させるエンターテインメントを僕がオーガナイズする図"が想像つかないからだ。大学の頃の友達は何年も自分で隔月イベントをオーガナイズしてるけど「よく続くねー」って関心する反面「良くあんなイベントに友達招くよな」って常々思っていて、GOLD DAMAGEが1,000円、超豪華メンツのRAW LIFEが2,000円ちょっとのエントリーフィーだっていうのに、ヘタな素人DJを聞かされて入場料とそのあとの飲み代を捻出する貧乏な若者の気持ちを考えるといたたまれなくなる。ともかく、五木田さんやロスアプソンの周辺のイベントは手作りっぽいフライヤーやTシャツから、プレイまでに一貫した、泥臭く統一されたディレクションがいい。

この音源が入ったCD-Rを五木田さんに借りたのは11月半ば、『ALBM』という本につくCDの音作りを頼みに行った時のこと。京王線沿いの国領にあるアトリエで彼が宅録しているオリジナル音源を聞かせてもらいながら、打ち合わせと称したとりとめも無い話をしたり。聞かせてもらった音源はともかく素晴らしくて、冒頭のDJのようなトゥーマッチなものから、彼自身がギターやドラムをカセットテープに重ね取りしたトラックまで様々で、どれもアイデアが面白かった。そしてどの曲にも五木田さんのグラフィックと同じように、カセットテープ録音の時に入り込むサァーッっという静かなノイズが通奏低音のごとく入っていて、妙に「やっぱりな」と納得した。五木田さんは洗練された汚しにかけては天才だと思う。

この『ALBM』という本は来年の春のBEAMS Tのキャンペーンとしてリリースされる本なんだけれど、音楽誌を作る志(こころざし!)で挑んでいるグラフィック誌で、音楽に対する副読本的な謙虚な立ち位置、付属のCDを楽しんでもらうためのパーツになってくれればいいと思ってる。

タイトルの由来は、単純に音楽のアルバムであり、グラフィックのアーカイブとしてのアルバムの両方の側面から『ALBM』とつけてる。『ALBM』は本と音楽、イベント、アパレルの全てが連動したプロジェクトになっていて、この連載が4回か5回に達する頃にはキャンペーンが始まる事になってますのでよろしく。

いまさらロッキンオン読んだって新しいCDを買う気が起きないし、雑誌やテレビがプッシュしてるアーティストなんてみんな最初から疑ってかかってる。そんな疑わしいメディアよりむしろ、信頼出来る友達に「このCDいいよ」って推薦される方がよっぽど説得力ある。音楽誌が音楽をより深く楽しむための存在だとして、その楽しみ方が音に対する批評やインタビューに限定されてしまっていている今の音楽誌はちっともエンターテインメントしてない。そんな状況で音楽を扱う媒体をやるっていう事がプレッシャーなんだけれども、音楽に関して無知ながらも、音とビジュアルで読者に楽しんでいただけたらと思ってる。まぁ、それが『ALBM』っていう本です。

この本に付属するCD ALBUMのサウンドプロデュースは五木田智央、アートディレクションはsalmagazine.orgでも不定期連載している井口弘史がやる事になっている。まぁ、この本に関する詳しい事に関してはまた来月以降。Δ

/EXIT

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contents :

/NEWS

one  SAL magazine Vol.13リリース!!!!!!!!

SAL magazineの最新号が現在各配付協力店にてリリースされました。

今回のテーマは「LIVING」。詳細は下の『/RELEASE』のコーナーにてご紹介。

Link:/RELEASE

two  RESFEST2004 Japan Tour

世界をツアーするデジタル・フィルム・フェスティバル「RESFEST」が、東京を皮切りに11月20日より日本で開催される。今年のラインナップでは例年に増して、ミュージックビデオのプログラムが充実。Warp Records15周年を記念して企画された「WARP VISION」をはじめ、毎年大好評の「CINEMA ELECTRONICA」「VIDEOS THAT ROCK」等、世界最高レベルの80以上もの作品が集結。ショートフィルム部門では、記憶に新しい11・2の米大統領選に先がけてプログラミングされた「BUSHWHACKED!」等が登場。また会期中には2002年に発表した「ターミナルバー」が数々の受賞を受け話題のステファン・ネイドルマンや、Warp Recordsのオーナーであるスティーヴ・ベケットらをゲストに招くほか、毎年恒例のワークショップも開催。今年も目が離せない。各地の上映スケジュールやチケット情報等の詳細はURL(http://www.resfest.jp)をチェック。

> Date : [東京] 2004年11月20日(土)〜11月23日(火) ラフォーレミュージアム原宿 [大阪] 2004年11月26日(金)〜11月28日(日) なんばHatch [福岡] 2004年12月3日(金)〜12月5日(日) IMSホール 主催 : ナウオンメディア株式会社 共催 : RES Media Group(NY) Ticket : ぴあ(http://pia.jp/t)にて取り扱い中 Info・URL : http://www.resfest.jp

three  TOSHIKAZU NOZAKA TATTOO ART EXHIBITION 「ASIAN WAVE」

<toshi.jpg>18才から独学で彫り物の道へ入り活躍する、彫り師・初代稔和(としかず)。20才頃から日本各地やアメリカなどの海外コンべンションでも活躍する一方、彼自身、スケートボーダーとしても活躍し90年代にはZorac(ゾーラック、80年代パスヘットが主催していたスケーターブランド)などからスポンサーを受けるなど多面に渡って活動をしている異色の経歴の持ち主だ。彫り師でありスケーターでもある初代稔和の、ふたつのアイデンティティーが織り成し、伝統的な物の中に独自の新しい風を吹き込みあらゆるジャンルから支持されている。今回のエキシビジョンでは、初代稔和として、初めての刺青の原画を披露してくれる。会場には、等身大の刺青原画作品に加え、自身のデザインするスケートボードや、さまざまな原画作品も登場する。日本の伝統的なものだけに、私達の中で忘れていた本質の日本を体感できるドープなエキシビジョンとなっている。(from DEPOT CREW)

[初代 稔和(としかず) PROFILE]
1973年東京生まれ。18才から独学で彫り物の道に入る。20才から本格的に彫り師として、経験を重ねる。現在は、東京都内にスタジオを構え、日々伝統刺青の研究、普及に務める。

> Date : 2004年11月9日(火)〜11月28日(日) 17:00-22:00(火〜土) / 15:00-22:00(日) 月曜定休 Place : Depot Gallery 中目黒 上目黒2-43-6 入場料 : 無料 Info: 03-5773-5502  URL : http://www.depotcrew.com

four  島尾一家による展覧会「まほちゃんち」

島尾伸三(小説家・写真家)、潮田登久子(写真家)夫妻とその娘しまおまほ(まんが家)という、アーティスト一家による展覧会「まほちゃんち」が水戸芸術館にて開催。小説「死の棘」で知られる島尾敏雄を父とする島尾伸三は、幼少期の娘を撮影した「まほちゃん」や、故郷奄美への旅の様子をスナップ写真とエッセイでつづった「損なわれた時を求めて」など、自分の身のまわりの出来事に繊細な視線を向けた作品を出品。潮田登久子は、いろいろな家庭で実際に使用されている冷蔵庫を撮りためた「冷蔵庫」、古本や創作帽子の写真シリーズのように、モノを通して人の生活を連想させるような写真を出品。「女子高生ゴリコ」でひそかなブームを作ったしまおまほは、今回、インスタレーションに挑戦。また、島尾と潮田の共著「中国庶民生活図引」に倣い、家族でたびたび旅行した中国で買い集めた生活雑貨類と現地で撮った写真を併せて展示する。

> Date : 2004年10月23日(土)〜2005年1月10日(月・祝) 9:30-18:00(入場は17:30まで) 1月10日以外の月曜日・12月29日〜1月3日は休館 Place : 水戸芸術館現代美術ギャラリー 〒310-0063 茨城県 水戸市五軒町1-6-8 入場料 : 一般¥800 / 前売・団体(20名以上)¥600 URL : http://www.arttowermito.or.jp/

five  ジャン・プルーヴェ展

デザイン、建築、エンジニアリングの領域において、20世紀におけるもっとも多才で革新的な創造者のひとりに数えられるフランス人のジャン・プルーヴェ(1901-1984)。ル・コルビュジェをはじめ同時代の卓越した精神の持ち主たちから賞賛を集めたプルーヴェの仕事は、ペーパーナイフから照明器具、家具、建築のファサード部分、プレハブ建築、モジュールを用いた建築システム、大規模なホールにいたるまで、きわめて広範囲に及んでいる。そのプルーヴェの日本で最初の本格的な展示が、ヨーロッパ・アメリカを巡回する国際展の一環として、10月30日より神奈川県立近代美術館 鎌倉館にて開催中。家具、組み立て住宅、建築模型、図面、映像資料など総計130点もの展示物が一堂に並ぶ。また会期中には、葉山館で開催中の「世界の美術館−未来への架け橋」展と連動したギャラリーツアーやトーク・上映会などの様々な関連イベントも実施される。

> Date : 2004年10月30日(土)〜2005年1月16日(日) 9:30-17:00(入館は16:30まで) 1月10日以外の月曜日・祝翌日・12月29日〜1月3日は休館 Place : 神奈川県立近代美術館 鎌倉 〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-53 入場料 : 一般¥1000 / 20歳未満・学生¥850  URL : http://www.moma.pref.kanagawa.jp/museum/

six  表参道2006展

2006年1月、表参道のシンボルであった同潤会青山アパートが、安藤忠雄氏の建築デザインのもと新たなランドマークへと生まれ変わる。森都市未来研究所では、その同潤会青山アパートとその再開発を軸に、表参道の昔〜いま〜未来を辿る「表参道2006展」を開催中。時代順に6つのカテゴリーに分けられた展示スペースでは、常に時代を先取りし、東京の変化をリードしてきた「表参道」―いままさに新しい顔が誕生するプロセスを、街の移り変わりとともに、模型・映像・写真を通して擬似体験できる。1〜3のカテゴリーでは、1920年から1990年までの表参道の変遷を紹介。「神の国」を具現化したような明治・昭和初期の明治神宮周辺から、終戦と東京オリンピックを経て、若者の聖地へと変貌していく表参道の様子が丁寧に描かれている。1927年日本初のアパートメントとして登場し、近代以降の日本のライフスタイルの基盤を作った同潤会青山アパートの今は無き内部を覗けるのも嬉しい。4のカテゴリーでは世界に類を見ないスーパーブランド・ストリートへとさらなる劇的な変貌を遂げた1990年〜2004年の様子を展示。青木淳によるルイ・ヴィトン、妹島和世+西沢立衛/SANAAによるDior、黒川紀章による日本看護協会ビルなど、近年続々と生まれた近未来的な建築群が不思議な調和を見せる現在の表参道を、新たな驚きとともに再確認できる。さらに5・6のカテゴリーは進行中の同潤会アパート再開発プロジェクトを疑似体験できるスペース。喫茶店のナプキンに描かれた安藤氏のスケッチから詳細にわたる完成予想の模型・イメージ映像・CGまで、プロジェクト細部まで肉迫した貴重な内容となっている。1927年の衝撃は、2006年どのようなかたちで再登場するのか?ぜひこの展示を通してその目で確かめてみて欲しい。

> Date : 2004年9月18日(土)〜2005年1月16日(日) 12:00-20:00(月〜木) / 12:00-22:00(金) / 10:00-22:00(土・日・祝日) いずれも入館は閉館の1時間前まで Place : 六本木ヒルズ森タワー50階 森都市未来研究所 入場料 : 一般¥600 / 学生(高校・大学)¥500 / 子供(4歳以上〜中学生)¥300 URL : http://www.muf.jp/

seven  中山ダイスケ「doze」

現代美術家、中山ダイスケがKodama Gallery(東京神楽坂)で個展を開催中。舞台芸術やパフォーミングアートを経た後の92年に美術界にデビューし、以来精力的に作品を製作・発表。ロックフェラー財団の奨学金や第一回岡本太郎記念現代芸術大賞準大賞等数々の賞を受けるなど、その評価は非常に高く、まさに「現代美術界の旗手」として国内外から注目を浴び続ける中山ダイスケ。今回の個展では、新作のペインティング(油画、アクリル画)とドローイングを発表。人や鳥、植物等生物をモチーフにした繊細なタッチの作品が並ぶ。

> Date : 2004年10月30日(土)〜2004年11月27日(土) 11:00-19:00 Place : Kodama Gallery Tokyo 〒162-0812東京都新宿区西五軒町3-7ミナト第三ビル4F(Tel : 03-5261-9022) URL : http://www.kodamagallery.com/start/index.html Info : info@KodamaGallery.com

eight  33 meets Delaware X'mas

12月1日(水)より吉祥寺shop33にて、“ロックをデザインし、デザインをロックするスーパーソニックな4人組グループ”Delaware(デラウェア)が個展を開催する。今回の個展ではテーマを季節柄直球に「Delaware X'mas」と題し、デラウェア的クリスマスを披露してくれる。12月3日(金)にはオープニングパーティーとしてライブと出店を行なう。ぜひ会場に足を運んで、巷より一歩先に、一味違ったデラウェアのクリスマスを楽しんでみよう。

> Date : 2004年12月1日(水)〜12月26日(日) 12:00-21:00 Place : Shop33 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-22-5-1F URL : http://www.shop33.com

> オープニングパーティー Date : 2004年12月3日(金) 19:00-21:00 Live : DELAWARE、AGES_5&UP、EXONEMO 入場料 : 無料

nine  深澤直人氏「プラスマイナスゼロ」、「ありそうでないもの」

プロダクトデザイナーの深澤直人氏とタカラ・ダイヤモンド社により共同で展開中の家電・雑貨を中心とするデザインプロジェクト「±0(プラスマイナスゼロ)」。その全発売アイテムを実際に見て、触れ、購入でき、またコンセプトモデルや次期発売予定商品の展示など、±0の世界を体験できる場でもある「±0 青山本店(±0 AOYAMA)」が10月1日にオープン。ブランド全体のデザインプロデューサーである深澤氏が手掛けたショップデザインは、細かなディスプレイにいたるまで手をかけた、非常にシンプルかつ美しい店舗に仕上がっている。また白とグレーの内装には、±0での深澤氏とのコラボレーションでもおなじみ、グラフィックデザイナーの佐藤卓氏によって、インパクトあるグラフィックが施されている。また店内奥には「cafe ±0」を同時にオープン。フランスのショコラティエ、パスカル・キャフェ氏によるオリジナルのチョコレート販売も行なっている。直営店ならではの情報発信やイベントの企画もあり、今後の情報から目が離せない。

また11月11日(木)よりON SUNDAYSにて、「深澤直人 ありそうでないもの展」が開催中。こちらも要チェック。

> Place : ±0 青山本店 東京都港区北青山3-1-12 HORON-R 1F(地下鉄 表参道駅B2出口 徒歩3分) Open : 11:00-19:00(cafeは11:00-21:00) 水曜日定休 Info: 03-5778-5380 URL : http://www.plusminuszero.jp/

> 「ありそうでないもの」 Date : 2004年11月11日(木)〜2005年1月23日(日) 11:00-20:00(水曜は21:00まで) Place : ON SUNDAYS 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-7-6 URL : http://www.watarium.co.jp/onsundays/Δ

/RELEASE

one  SAL magazine Vol.13“LIVING”Issueリリース

SAL magazineの最新号Vol.13が11月1日にリリースされました。

今回のテーマは「LIVING」、リビングといえば日本語的には一般に「リビングルーム」、「居間」を想像させますが、ここでは言葉自体の「LIVING=生活」がテーマです。

森ビルの手掛けた提案型住宅「オランダヒルズ森タワーRoP」のライフスタイルカタログは、タイクーングラフィクス、エンライトメント、そしてインテンショナリーズの皆さんが手掛けたもの。デザイン系、インテリア系の雑誌で展開されるリビングイメージの最上級のグラフィックとして、そしてイラストレーションの端々に見られる完璧なアートディレクションは見ものです。憧憬と反感を共に含みながら、これも紛れもないリアルです。今回の号の重要な作品のひとつです。

ミヤヂマタカフミさんのオリジナルフォントシリーズの代表作『LIVING』フォント。フォントは時代に流されるものではありません。フューチャー・システムズの手掛けた建物は、日本では液晶テレビのCFでお茶の間に流れました。吉永小百合さんが出演するあのCFです。リビングといえば椅子とテレビは欠かせません。これはイングランドのウェールズの草原に実際に建つ草とガラスの家。

続くページは朽ち果てた日本家屋。1階の床はもはや抜けて地面を青いビニールシートが覆っています。現代美術家 会田誠さんがかつて住んだ津田沼の一軒家。創作の場としてのアトリエでもあり、また生活の場でもありました。現在は取り壊されて存在しません。

椅子を初めとしたファニチャーはリビングの重要な要素です。これは津村正勝、松本康、相原一雅の皆さんが『エレメンツ』という名で進めているファニチャーブランドシリーズ。今年のイタリアの国際家具見本市では大きな注目を集めました。将来私たちの目の前にも実際の製品が現れるでしょう。

かつての都築響一さんの偉大な仕事以降、“巣”としての若者達の部屋を被写体とすることはアリとなりました。また雑誌のリビング特集等でもこの視点は広く用いられました。この人工的な光に照らされた生活の風景は、写真家 久家靖秀さんの新作『遊歩道より』。コマーシャリズムとアートを往還する久家さんの、LIVINGというテーマの解釈はさすがです。写真家は被写体に対する眼差しで社会と対峙します。

これまで様々なメディアでも露出した宇川直宏さんのかつてのアトリエ。どこかで写真を目にした人も多いかもしれません。このカオス状態は撮影の為に特に組まれたものではありません。実際にこの空間でマシンに向かい、電話をし、タバコを吸い、雑誌を読み、創作を行いました。アーティストにとってのアトリエはリビング空間でもあります。

私たちは様々なプロダクツに囲まれて生活しています。最後はリビング空間に存在する様々なプロダクツとしての食品です。単なる赤色に見える見開きは、よく見ると端に微妙なグラデーションが見られます。これはトマトの表面を拡大した写真です。ページをめくると現れる2つの瓶はトマトジュースです。様々なクリエイターたちとのコラボーションによって、北海道からまったく新しいプロダクト(商品=作品)を全世界に発信していくことを目指す『E2O』プロジェクトの第一弾。これはSHIFTと稲葉英樹さんとのコラボレーションによって生まれました。価格とその品質は一般的なトマトジュースの枠を越えています。上質なものに囲まれて生活することは大切です。そして冒頭のページにフィードバックします。Δ

/REPORTS

one  『建築する身体』

「養老天命反転地」<http://www.yoro-park.com/j/rev/>や「偏在の場・奈義の龍安寺・建築的身体」<http://www.town.nagi.okayama.jp/moca/to12-j.htm>などの希代の建築作品で知られる荒川修作とマドリン・ギンズの二人による2002年刊行の共著『Architectural Body』(アラバマ大学出版会)の日本語版が今年の9月下旬に『建築する身体』という邦題で春秋社から出版された。蛍光ピンクのカバーと雑誌サイズのつくりがとにかく目立つ<kenchiku_omote.jpg> <kenchiku_ura.jpg>。オートポイエーシス論の鬼才・河本英夫が翻訳を手がけており、本の最後に濃密な解題と基本用語解説を提供している。この書は、詩的表現・対話・マニフェスト・造語・エクササイズ・解説などの様々な言語表現の形態を活用しながら、副題の「人間を超えていくために」が示すように、読み手の身体性や環境との接続のしかたを拡張させ、各々の有機体の抑え込まれたポテンシャルを発動させることが包括的な目的になっている。

近々、『建築する身体』のトイレットペーパー版も発売される。外側の包み紙は本のカバーと全く同じデザインで、ペーパー自体には文章の断片が印刷される。荒川+ギンズの難解なことばで尻を拭くことがもうじき可能となる。

東洋大学白山キャンパスの巨大な地下講堂「円了ホール」で10月27日、『建築する身体』をめぐっての総合討論、「建築の現象学‐身体と芸術の課題」が開催された<kenchiku_speakers.jpg>。パネリストには荒川修作と河本英夫に加え、倫理哲学の研究者、佐藤康邦が迎えられ、特定質問者として現象学研究者の山口一郎、司会には同じく現象学研究者の永井晋が加わった。まずは佐藤氏による、荒川作品にまつわる特異性と難解さに関するトークで幕が開け、次に河本氏が荒川の思想の核心部分をわかりやすく解説し、自身の研究との関連について語った。そこからは、山口氏の質問をときおりはさみつつ、ただならぬエネルギーと存在感を放つ荒川氏のトークが流れの基軸になった。身体と環境の間ではどういった壮烈な事態が絶えず起こっているのか、そして科学・哲学・芸術をはじめとした現代文明がいかに生命や身体を抑圧しているのか、などのことを独特のポエティックな語り口とボディーランゲージで表現した。ステージ上の巨大スクリーンには荒川氏の建築作品やモデルのイメージが映し出され、これらに関する解説や興味深いエピソードも語られた。

この集まりでは、普段耳にすることのないラディカルな言明が多く飛び交い、会場は心地よい緊迫感に満ちていた。「総合討論」という題目のわりには、話が双方向的な議論にまで発展する場面があまり見られなかったのが唯一の残念だった。最後には来場者と荒川氏による質疑応答が行われ、予定時間よりも大幅に遅れてシンポジウムは終了した。

建築を通じて、人間を新たな生命のステージへと誘導することを企てる無類の作家、荒川修作。70歳近くであるにも関わらず、今後の更なるブレークスルーを期待せずにはいられない。

>『建築する身体』 荒川修作+マドリン・ギンズ著 河本英夫訳 春秋社発行 ページ数:179ページ 第1刷発行:2004年9月20日 ¥1,365(税込み) ISBN:4-393-95503-X URL: http://www.architectural-body.com/

article / photos: Ryutaro Uchiyama

two  『SAL magazineナイト5.0』

"未知なる才能を持ったクリエイターの発掘とその作品紹介の機会創出"を目的に開催されたデジタル・フィルム・フェスティバル「DOTMOV 2004」<salnight_5.0_dotmov.jpg>。そのオープニングイベントの一環として、5台のプロジェクターで会場を包んだオーディオビジュアルイベント「SAL magazineナイト5.0」が10月31日、札幌のSOSO CAFEにて開催された。

DOTMOVのゲスト審査員としても招かれたSAL magazine編集長 大橋二郎とSIM編集長 古屋蔵人によるトークショー、ライティングデザイナーのジェームス・クラーによるインスタレーション、そしてニッポニアエレクトロニカのライブ、DJ MOGRA、大橋二郎のDVJなどのプログラムでノンストップの6時間で行われた。

大橋二郎/古屋蔵人トークショーは、SAL magazine 最新13号にあたる「LIVING Issue」のレクチャーから始まった。レクチャーでは観客ひとりひとりにSAL magazine 13号が配付され、カバーデザイン誕生にまつわる裏話や、ページ構成に込められた意図、今後のSAL magazineの展開など、普段は直接知り得ない編集者側の視点が語られた<salnight_5.0_living.jpg>。そして、引き続き語られたのは"音と映像のコラボレーション"について。ここでは大橋二郎によるVJ映像をまじえながら、映像と音との調和で生まれる空間の面白さや、DOTMOV出展作品で特に眼を引いたものについて等、編集者の観点からの映像表現に関する感覚が話し合われた。映像機器の一般化や機材同士の互換性が著しく進化し『映像』がさらに身近になりつつある中で、今後『表現』自体の更なる進化と多様化を期待させるトークとなった。

続く、NY在住のライティングデザイナー、ジェームス・クラー(http://www.jamesclar.com)によるインスタレーション。音と光がシンクロナイズする自身の作品であるライトバー(と美人通訳!)を携えて登場<salnight_5.0_jc.jpg>。音に反応しインタラクティブな動きをするライトバーのレクチャーやこれまでの作品紹介、ミラノのファッションショーで発表予定の着用可能なライトの紹介等が行なわれたあと、実際にライトバーとiPodを使ったDJパフォーマンスで独自の光空間を作り上げた<salnight_5.0_jc2.jpg>。

その後SIM 古屋蔵人によるDJプレイではableton Liveによるエフェクトやシークエンスを多用し、聞き慣れた音源に全く違った表情を与え、会場の表情をも変えた<salnight_5.0_furuya.jpg>。

続く、ニッポニア・エレクトロニカのライブ<salnight_5.0_nipponia.jpg>。パイオニアのDVJ(なんとDVDが、映像がコスれるVJ用最新メカ!<salnight_5.0_dvj.jpg>)やカオスパッドを駆使し、NHKなどのフィルムアーカイブのサンプリング映像によって構築されたハイテンションなダンスチューンに会場は大きく沸いた。パイオニアのDVJに見られるように、ここでも『映像』は大型機材を担いだいわゆる『専門職』のものではなく、コンシューマユーザーの手の届く範囲にまで降りてきた事を認識させられた。

最後に、大橋二郎によるDVJでは<salnight_5.0_ohashi.jpg>、トークショーで語られたVJ映像と、DJ演奏の組み合わせが実践される。モーフィングする万国旗の幾何学映像や、レコードのアー写ジャケ等が次々に映しだされ、会場を包んだ。

映像フェスティバルである「DOTMOVフェスティバル」のオープニングにふさわしく、音と映像に彩られたイベントだった。

article / photos: Kana Satomi

three  シムリン・ギル『パワーステーション』

ヴェニス・ビエンナーレ公式後援企画「トランスカルチャー」(ヴェニスおよび直島コンテンポラリー・アート・ミュージアム (1995))、国際巡回展「シティーズ・オン・ザ・ムーヴ」(1997)、ベルリン・ビエンナーレ(2001)、シドニー・ビエンナーレ(2002)といった主要な国際展に出品するかたわら、シドニー、クアラルンプール、ロンドン、ヘルシンキなどさまざまな都市でコンスタントに新作を発表しつづけているシドニー在住のマレーシア人アーティスト、シムリン・ギル。そのギルの、東京では初となる個展「パワーステーション」(銀座・資生堂ギャラリーにて開催中)に足を運んでみた。

「パワーステーション」は、マレーシアのポートディクソンにあるギルの生家と、その近くの古い発電所、それぞれの内部を撮影した写真を向かい合わせに展示し、さらに道端に捨てられているものや海岸に流れ着いたもの等を用いた「オブジェクト・ワーク」で知られるギルが、双方の建物に面した海岸で収集した漂着物を組み合わせたインスタレーションとなっている。

実際に展示を見て、二つのことを思い出した。ひとつは私が小学校低学年の頃のこと。当時住んでいた家の周りはちょっとした工業地帯で、私はよく工場の近くへ行き、外から機械の動く様子なんかを眺めたり、ねじのような部品を拾ったりして楽しんでいた。もうひとつは、小沢剛が何かのインタビューで、「実家の隣が野焼き業者の処理場で、今だったら身体に悪いとか言って怪訝な顔されそうだけど、そこのゴミの山はかなり魅力的な遊び場だった」というような内容の発言をしていたこと。自分の家と、工場・処理場、そして発電所といったような産業的な構造物。この二つの組み合わせ=共存関係は、住環境の中の要素としては「自分に悪影響を及ぼすんじゃないか」などと否定的に受け取られがちだが、子供の頃のようにただ直感で感じてみると、非常に面白いものであったりする。

「パワーステーション」では、「自宅」と「発電所」との共存関係の面白さを、ギルの住環境に入った気分で疑似体験することができる。モノクロで撮影されたゆったりとした家の内部と、SF映画の宇宙船を思わせる鮮やかな色彩が目を引く発電所内。その二つの長い間にわたる共存関係を象徴するものとして、木片・貝殻・動物の骨などの自然物と、海で侵食されたガラス・金属・プラスティックの破片などの文明の産物とが、漂着物の山の中に異質のものとしてではなく自然に混在したオブジェクト・ワークとして存在する。写真とガラクタ(オブジェクト・ワーク)というシンプルで不思議な組み合わせによって、家と発電所の組み合わせの妙が見事に表現された展示となっていた。

> Date : 2004年10月5日(火)〜2004年11月28日(日) 11:00-19:00(平日) / 11:00-18:00(日・祝) 月曜日定休 Place : 資生堂ギャラリー 〒104-0061東京都中央区銀座8-9-3東京銀座資生堂ビルB1F URL : http://www.shiseido.co.jp/gallery/html/index.htm

Article : Azusa Hitomi

four  ロンドンレポート『Zoo Art Fair』

10月16日から18日にかけてリージェンツ・パーク内のロンドン動物園にてアートフェアが開催された。"Zoo Art Fair"と冠されたこのフェアは、近年のアートコレクターのギャラリー離れを受け、現在ロンドンで活躍している若いアーティストをプロモートするために開れたもの。"Museum 52"や"Hotel"などの、オープンして3年未満の若手注目ギャラリー26店が参加した。

狭い動物園の入り口を抜けると、まず左手に1つめの会場。まず驚いたのは、見るからにイングリッシュなインテリアやデコレーション。園内の動物たちも目を丸くしてことの成り行きを見つめていた。3階に上がってみると、人の多さとその賑わいに圧倒される。ここには18のギャラリーがブースを持ち、各自よりすぐりの作品を展示。作品は絵画からスカルプチャーまで色々で、各ギャラリーが一押しの作品を展示しているだけあって統一性はないが、その分刺激的でおもしろい。ここで一番目を引いたのが、Ritter/Zametというギャラリーで展示されていた、Herwig Weiserの”Zgodlocator”という作品。外観は、2台のターンテーブルからテーブル部分を取り除いたもの。右側には、オイル状の黒い液体が、左側には砂鉄が敷き詰められ、サウンドコントローラーを回すと音に合わせて奇妙にそのオイルと砂鉄が動くというもの。少し耳障りな音と、日常あまり目にしない物質が不思議にシンクロナイズし、頭の中が戸惑う。とても印象的だった。

この会場から2番目の会場までは、文字通り動物園の中を歩くことになる。次の会場には8つのブースが設置されており、ここで印象的だったのは、One in the Otherが展示していた”girlband”という作品。アーティストはKevin Francis Gray。ファイバーグラスに真っ赤のペインティングを施した3人の女の子がいかにも楽しそうに楽器を演奏している。想像していたものよりも小さかったが、そこがまた作品のコミカルな性格に合っている。このアーティストの作品は遊び心が溢れていて、ギャラリーを実際に訪れて色々作品を見てみたいと思った。これでは主催側の思うツボだろうが、そこにあえてはまってやろう、そんな気にさせるアートフェアだった。

こういうフェアがローカルから世界の人々に支援され、アートがもっと身近な存在になることを祈って。

Article : Rika YamamotoΔ

/FEATURES

久家靖秀インタビュー
11月13日 / 世田谷区経堂 / カフェギャラリー「アペル」にて

Q : 写真の世界に興味を持ったきっかけを教えてください。
A : 高校の時に僕は柔道部だったんだけど、隣が写真部の暗室だったんです。ある時、写真部の人数が少なすぎて、同好会に降格になっちゃうから名前貸してくれって頼まれて写真部に入って、その時はじめて写真部の機材とか現像の作業を見て「結構すごいな」って興味を持ったのがきっかけ。
その後もなにか写真集を見て興味を深めたというより、洋書の小さなキャプション入りの写真とか、小さいんだけれど「この写真もっとちゃんと見てぇ」小さな写真から想像した世界に惹かれていって。大学を辞めちゃった頃に僕の表現手段として、文章でもない、音楽でもないしって考えていて行き着いたのが写真で。そのあと東京ビジュアルアーツに入学して技術を学び始めて、学生の頃からちょっとずつ仕事をしていてその中でプロ意識みたいなものが芽生えていって。その後アシスタントをやってから20代後半でフリーになったって感じです。

Q : 簡単にプロフィールもお願いします。
A : 最初の写真集がウルトラマンの怪獣を撮った「ALIENS」、当時うちの子供がウルトラマンにハマってて「昔のウルトラマン撮れたらいいねぇー」って話を編集の人に話したんですよ。で、そういう話はなかなか実現しないから無理かなーって思ってたんだけど、それが実現してCD付き写真集としてリリースされて。あとは「NUMBER」「CUTIE」「ストア」「DUNE」「relax」とかやってました。あとは作品集の「LIFT」ですね。

Q : 今回、SAL magazineに提供してくださった作品について教えてください。
A : 今、ここ(経堂のアペル)で展示してる「遊歩道」シリーズと呼んでいるものなんだけど。実は今年のはじめにスピード違反で免停になってしまって、鮫洲で講習受けに行ったんだけど、そこにいた他の講習を受けるおじさん達が「いいよー、こんな講習受けなくったって、一ヶ月免停だけどその間車乗らないなら講習代勿体ないって」ていわれて、確かにそうだなって思ってそのまま帰ってきちゃって(笑)。で、そのあとの一ヶ月間は車乗らないで歩いてすごしてたんです。それで車道を歩くとうるさいし、遊歩道をタラタラ歩いてる方が気持ちいいなって気付いて、それから撮りはじめたものなんです。

Q : SAL magazineの『LIVING=生活』というテーマに対して、なぜこの作品を選んだのかを教えてください。
A : 昼間の情景と夜の2つの構成になっているんだけど、普段見慣れているものが違う側面を見せたり、例えば演劇的だったりそういう表情を見せる瞬間って言うものがあって、それが今回はうまくいったと思ってて。ちなみに知り合いの画家の人に「ここからバルタン星人出てきてもおかしく無いよね」って言われました。「ALIENS」の頃から変ってないって(笑)。
「AXIS」の連載で「庭からの視線」っていうテーマで、京都のちゃんと造園されてる庭だとか、北海道のモエレ沼公園だとか撮ってまわってるんだけど、東京っぽさでいうと遊歩道はものすごく際立っていて、もちろん区に雇われた植木屋さんに手入れされてるんだけれど、植木屋さんのクセとか個性がものすごく出てるし、遊歩道に面した家の人が自分の好き勝手に植え込みしていたり(笑)。もちろん単純に遊歩道を歩く方が車道を歩くより、断然気持ちよくて。
個人のものでも無い、共有された空間なんだけれども、そういう意味で生活の根付いた空間になっていて、それが東京らしいんですよ。そういう意味で「LIVING」まぁ、あと単純に今、個展もやっているしタイミングがよかったっていう事でもあるんだけれども。

Q : 遊歩道シリーズのようなパーソナルな作品以外にもタレントを撮った「cover / girl」のような作品もありますが。
A : 政治家とか、舞台役者だとかスポーツ選手を撮るのは自分では凄く好きなんですけど、タレントさんを撮るっていう事はずっとしっくりきてなくて。
「cover / girl」はアイドルや女優さんを撮った写真集なんだけど、この本を作ったときは知り合いのメイクさんに毎回“素顔”をイメージさせるメイクっていう共通のテーマでお願いしたんです。そうする事によってそのときのメイクの流行に左右される事も無いっていう利点があって、スタイリングに関してもジャージみたいなスポーツウェアを着てもらってるんだけど、タレントさんの動きの自由度を与えて洋服によって過剰なフォローをしない、そういう綺麗なモデル達を愛でるみたいな美人画のようなものですね。そういうコンセプトでやったんです。
その他に「SWITCH」と「アイデア」で発表した出産写真を撮ったシリーズの「CLINIC」というがあって、産婦人科に張り紙して、普通の夫婦に協力してもらって撮ったシリーズもあって病院から『生まれそうです!』って電話がきたら飛んで行って、旦那さんと一緒に待合室で18時間待ってたりして(笑)。そういうシリーズもあるんですけど。

Q : 表現に対する意欲、インスピレーションの源流を教えてください。
A : なんでもです。何からでも受けますよ。一昨日まで京都にロケに行ってたんですけど、そこでも活力を貰ったし。「NUMBER」の仕事でブラジリアントップチームなどを撮りにブラジルに行ったんですけどそこで格闘技の練習風景を見て格闘技って美しいなぁーって思ったりだとか。レスリングとか総合格闘技って、道着じゃなくて体を直接つかむでしょ。あれはコミュニケーションに近いんだなぁとか考えたり。選手同士が延々、技を研究していてずーと絡み合って、人間知恵の輪みたいになって、そういうコミュニケーションを見ていて凄く面白かった。
あとは人からインスピレーションを受けますよ。立花文穂さんだとか、有山達也さん、小野英作さんとか、石黒景太さんだとかそういう事もあるしね。もちろんそれが作品になろうがなるまいがどうでも良くて、単純に面白いんですけど。

Q : 今後撮りたいと思ってる作品について教えてください。
A : 今まであまりヌード撮影とかした事なかったので、撮ってみたいんですけど。ヌードでは無くあくまで“裸婦像”と言いたいんですけどね(笑)。

> 久家靖秀展(11月23日まで)
PLACE : Appel 〒156-0052 東京都世田谷区経堂 5-29-20 TEL / FAX : 03-5426-2411 MAIL : b_rabbit@gb3.so-net.ne.jp URL : http://www.bit-rabbit.com/Δ

/ARTICLE

アンダーグラウンド思想史(1) :
「秘密結社のススメ」
文 : 庄野祐輔

突然ですが、伊勢神宮はみなさんよくご存じですよね。知らないという人でも名前ぐらいは聞いたことがあるはずです。でも、その伊勢神宮が20年に一度新しく建て替えられているということはあまり知られてない。これは「式年遷宮」と呼ばれる行事のようなもので、今ある神宮のとなりに寸分違わぬ同じ建物を建てて、古い方を取り壊し、それを繰り返すというシステムです。20年というと結構短い。人間の平均寿命でいうと4回も建て替えている計算になります。伊勢神宮の歴史の長さから考えてみれば、その労力たるや途方もない。実際お金もかかるし効率も悪いやり方みたいに見えます。でも実はこれ、昔の人が考えた思想を伝達していくひとつの仕組みなのです。建て替えることで宮大工は実体験として作り方を覚えることができる。彼の全身に、宮の内部構造が奥義のように刻まれていくのです。歴史から消え去り今となってはどのように作られたかさえ分からない石造りの神殿とは違って、建物それ自体よりもその建て方を伝えていくという神宮のしくみは、古代から続く日本のカタチにある思想を伝える役割を果たしています。

これは単に例にすぎません。世界には、これと同じように誰にも知られないまま伝承されていく思想が数多くあります。もともと文字などなかった古代では、全ての神話や物語は長老たちが語る言葉によって伝えられていました。そして文字が誕生して初めて、そうした「いいつたえ」を文字に置きかえようと試みられるようになったのです。日本で、それが最初に行われた例はかの有名な『古事記』でした。しかし、そういった「いいつたえ」の文字への置きかえは、たいがい時の権力者によってなされることが多い。文字はいつも体制によって支配の道具に使われる運命にあるのです。それは、どの国いつの時代でも同じです。

アメリカには、HIPHOP文化誕生の黎明期から活動しているザ・ラメルズィーというアーティストがいます。彼は、HIPHOPの全体を通したその活動で、文字が人間を無意識上で支配していることに対し警鐘を鳴らしています。ザ・ラメルズィーは自ら書き綴った論文で、アルファベットをいったん解体し、グラフィティライターの感性でそれを装飾して「武装化」するのだといっています。ザ・ラメルズィーの武装文字が体制の権化である文字と戦争する、彼はそんなゆかいなコンセプトを作品やパフォーマンスで実践しています。彼は若い頃、ファイブパーセンター(別名the Nation of Gods and Earths)という黒人の為の宗教に加入しており、彼の未公開の脚本「アルファズベット」にも、謎かけに答えるのに失敗した黒人のファイブパーセンターが同志から暴行を加えられるという、そんなリアルなエピソードも登場します。ファイブパーセンターというのは、マルコムXの弟子であったクラレンス13Xという人物が創設した唯黒人主義的なイスラム教の流れをくんだ新興宗教で、彼の作品のコンセプトもそうしたイスラム教にある独特の言霊ならぬ文字魂思想から深く影響を受けていることは明らかです。ファイブパーセンターは自らをけして宗教とは呼ばず、科学であるといい続けています。ギャング団という説もありますが、古神党と同じく布教しないという点では厳密には宗教でないと僕は考えています。同じ思想を共有した集団とでも呼ぶべきでしょうか。ある種の暴力的な入会の儀式などもあり、秘密結社のようでもあります。もし詳しくファイブパーセンターの思想を知りたいという方はWEBにFAQが掲載されているので英語ですが読んでみてはいかがでしょうか <http://www.blackapologetics.com/fivepercentfaq.html>。ちなみにザ・ラメルズィーの作品と彼の思想を自ら書き綴った論文はこちらで読むことが出来ます。ちなみにこちらも英語 <http://www.gothicfuturism.com/>。

繰り返しになりますが、世界には文字によって書かれることのない、よって人々になかなか知られることのない思想が数多くあります。その一部は神秘思想とよばれ、その思想の形を神秘主義と呼びます。宗教や一般思想のように多くの人間に伝えるという目的とは反対に、少数が人間DNAとなって思想を伝えていく仕組み、いってみれば格闘技の一子相伝や、なんとか流みたいなやつと同じで、選ばれた人間がその下の世代に思想を伝えていくという思想のあり方です。バタイユに出会ってフランスの神秘主義に影響を受け、実際に彼らの結成した結社にも参加していた岡本太郎は、そうした思想を受け継いで日本に持ち帰り、日本人が作り出してきた正当文化に対しオルタナティブな視野(縄文土器の評価など)を提示したという点でとても重要な存在です。同じく、社会学者の宮台真司の著作『サイファ覚醒せよ!』は、彼の流行思想家としての著作とは違い、闇の思想家としての部分がにじみ出ていて危険な作品です。また、勘違いしてしまうとアメリカ歴代の大統領に代表されるフリーメーソンのように、権力を持った人間の集合体と化してしまうこともあるので気をつけなくてはなりません。

一方、ドイツという国でそんな神秘思想を公のもとにさらした人物もいます。それがシュタイナーという思想家です。僕がはじめて彼の思想と出会ったのは、「フォルメンを描く」というシュタイナーの線描芸術を解説した本によってでした。「フォルメンを描く」は古代の装飾模様の中に隠された意味を紐解きながら、それを描く練習をするための教科書です。喜んだり、悲しんだり、快活になったり、内向的になったり、それを自由に線によって表現します。それを繰り返し描いていくうちにパターンが生まれ、今度はそのパターンによってさまざまな感情を描き出すことが出来るようになります。まるで音楽が誕生するように、線が自分で自分を表現するようになるのです。そして、最終的には練習によって誰もがそれを身につけることが出来るようになる。実際に、精神障害を持つ人のためにそういった教育を取り入れている学校もあるそうです。

神秘思想は本来、時の体制によって改ざんされたり弾圧されないための方法、文字をのこさず言葉によって伝達していくオルタナティブな思想だと僕は思っています。いまはやりの「口コミ」というやつです。インディー誌を作り続け、黒人文化に興味を持つ僕は、マイノリティである人間が、マスの圧倒的な力に対しけして勝てないまでも負けないために生み出した神秘思想という在り方にどうしてもポテンシャルを感じてしまうのです。もし、シュタイナー教育のようにその秘技を「ひらく」のであれば、それは実践的な思想として社会変革を引き起こす可能性も秘めていると僕は考えています。雨粒が永い時をへて石をうがつように、また、圧縮されたファイルか解凍されるのを待つように、いつか姿を現す時を何百年とじっと待ち続ける。そんなけなげな思想って良くないですか?

THE POTATO
「素朴すぎる疑問」
文 : 井口弘史

11月6日に原宿ラフォーレミュージアムで行われたシンポジウム『CREATIVITY NOW TOKYO』の会場でもボクが触れた事なんだけど、「人間の視野は四角形に閉ざされた世界ではない...」という事に子供の頃の写生大会で描く風景を探している時に気付いた。反面、視覚表現を主に活動している現在の自分にとって、紙媒体やテレビ/モニター、あるいはギャラリー等の空間がひとつの基準になっていることに時々ギャップを感じ、そしてそのギャップを楽しんでいる。誰もが自分の視野の中に興味深い映像を見ているはずだ...というような内容の話も同シンポジウムでのクロストークの中で出たのだが、これも子供の頃に気付いた事だったので同席していたボクはとても驚き共感した。つまり視覚が有効な人であれば誰もが平等に、トリミングや編集処理する前の誰の手垢も付いていないオイシイ素材を持ち得ているって事なんだと思う。同じく子供の頃に気付いた事があって...それは自分の視野には写真や鏡などを見ない限り自分が写っていないという事(身体は見えるけどね)。何が言いたいかっていうと...映画でいう監督やカメラマンに位置する目線で目前に繰り広げられる出来事に対して自分自身がその映像と関係している事を興味深く思った、って事なんだけど...意味解るかなぁ? 養老孟司の著書の中に、過去に自分が体験した場面を回想する時に頭に浮かぶ映像の中に自分自身が登場する場合があるけど、実際は自分の目で見ているはずだから自分自身が登場するはずがなく、それだけ記憶というものは曖昧だ...といったような内容があったんだけど、ボクは凄く考えさせられた。誰もが目を使って日々の生活の中で映像と接し、自分の意志と共にその映像の中で行動し、都合良く編集している。カメラのピントを合わせる行為と自分の視覚との違いとか、近眼(&乱視)である自分の視力によってぼけて見える世界とメガネをかけた世界とのギャップ...日々そんなような事を発端にして仕事や作品と向かい合っている。そんなたわいもない事をボケェ〜っと思うだけで、表現は無限だぁ!という気になるので、少なくとも単純な思考のボクにとっては重要なのだ。自分以外の人に対して何かを視覚的に伝える場合に編集、つまりページ数/時間/予算といった制約や、四角い画面の中に収めるという行為がどこかで必要になってくるだろう。しかし自分以外の創造を編集を通じて受け取る時、そういった制約を飛び越えて伝わってくる事がある。様々な諸事情や画面の四角形を全く感じない瞬間。俗に言う「キタァ〜ッ!」だ。それが存在すると知ってしまった以上それを目指し、日々葛藤しながら創造しているのかも知れない。当たり前の事だからこそ、一生かける意味もあるんじゃないかなぁなんて思ったりもするけど...単なる当たり前でしかないのかもね。そんな感じで子供の頃から繰り返している様々なQとAを発端に創造する事をコンセプトに始めたのが僕個人のプロジェクト『THE BWOY』だったりします。パトワ(ジャメイカで使われる英語がなまった言葉)のBWOY、英語ならBOYか。このコンセプトの基本になっている事、それはデッサン(観察)する事。目の前に起こった事を観察/解剖し、そこから抽出した事項をいかに伝えるかっていうこれまた当たり前の事がコンセプト、だと思う。それをどれくらい伝えたいかっていえば...チビっ子が見たらトラウマになるくらい伝えたい。トラウマっていうとダークサイドの記憶やバッドトリップの入り口のようなモノを連想してしまうかもしれないけど、それさえも楽しめたら超最高なんじゃないかなぁ〜って自分では思ってる。つまりトラウマ的なモノをひっくり返す行動に気が付けば、強力なヒントを導く事が出来るんじゃないかっていう意味。抽象的だけど、トランプで言えばジョーカーのようなモノを創りたいと思ってる。まぁこのコンセプトが飽きたら迷わず凍結させて、全く違う事を考えると思うけど。四角と視覚...それを考えると必ず行き着くのは...聴覚、臭覚といったその他の感覚。屋外で寝っ転がって四方八方から聞こえてくる音を聴いている時には四角を全く感じない。「凄い!」って思った後に、落ち込む。でもやっぱり四角の中で編集作業を始めたくなってしまう。今のところ、そんな日々です。コノ瞬間、ベートーベンとかTHE WHOのロックオペラ『TOMMY』とか座頭市とか...そんな事を考え出したら収拾が付かないから、この連載、終わらせようと思ったけど終われないな...。そんなワケで不定期不定形連載って事にして今後も時間を見つけて自分の恥ずかしいイモな部分(POTATO)をお見せしていくつもり。「自分よりアホなヤツが居るなぁ...」って思って頂ければ幸いです、ヨロシク。

NEWハイプ研究所
対OLDハイプBOMBファイル#006
キッドゥン・プレイ・フォー・アンファン・テリブルズ。
文 : 深沢慶太

子供の世界はアシッドである。と同時にパンクでありスカムでありコアでありイルであって……と、書いてみてしばし呻吟、その片鱗を子供用の絵本、TV番組にみたならば。記憶に新しいのがNHK教育テレビの「ドレミノテレビ」<http://www.nhk.or.jp/doremi/>グッドデザイン大賞受賞。歌のお姉さん"ううあ"ことUA、謎のパーカッショニスト"ともとも"こと山口ともが出演、他にも振付を珍しいキノコ舞踊団の伊藤千枝、衣裳を北村道子、タイトル映像を生西×掛川のW康典、サブタイトル映像をタケイグッドマン、タイトル音楽をククナッケ……ディレクターを務めるのはメディアアートユニットflow<http://www.floweb.org>の山岸清之進と、"子供向け"というにはサブカルを通り越してハーコーな印象の方々が名を連ねる。当然、衣裳がヘンだ。童謡らしい歌い方をしろ、等々の非難が親や教師から多く寄せられたが、一方で熱狂的な支持を受けて大躍進。そのアシッド風味はお子様の趣向というよりは、制作者側の趣味の問題、かつての「ウゴウゴルーガ」や英国の「テレタビーズ」の例に漏れず徹夜明けクリエイターのぐにゃぐにゃ化した脳ミソに"効く"ように作られた面を勘ぐりたくなるが、仮にそれが番組の裏の目的だとしても、子供達の大喜びの様子から察するに、子供にとってもこの番組は"クる"と呼んで差し支えない強度を有しているのだろう。他にもいわゆる"サブカル系"で「これが子供向けか?」と思われるものでありながら子供が大喜びするものとしては、荒川修作+マドリン・ギンズによる怪我人続出テーマパーク「養老天命反転地」<http://www.yoro-park.com/j/rev/>や「川崎市岡本太郎美術館」<http://www.taromuseum.jp/>等があるが、むしろいわゆる"子供向け"的なものよりも、大人をしてどこか珍妙・奇怪・奇天烈・突飛・妄念的に過ぎていると思われるものの方が子供に強く訴えかける力を持っている、とも感じられる。しかもそういうものの方が、大人が見ても面白い。効く。ヤバい。あへあへ。これはどういうことか。−−いわゆる"子供向け"のものとは、発達心理学や教育学的見地から"お子様の発育に有意に働くように"計画されたものである。だが、そうして子供を教育し、意図的に導かんとするその先にあるものは、その時代時代の倫理観、常識観念や社会規範を映した"優良な"大人であり、かかる大人存在の効率的な量産に寄与するものが良質の教育コンテンツとして称揚されることになる。つまり"子供向け"コンテンツの善し悪しには、その社会の公序良俗観念として通念的な基準が如実に反映されているのであって、その基準は先の"科学的見地"を差し引いても極めて恣意的であり、誘導的といわざるを得ない。しかもそれが商業活動である場合、対象とする幼児・児童はマス的存在であり、購入者は親であるから、マス的に平均化された親→子供の嗜好に則ったものが"子供向け"商品として流通する。つまり、そこにはほとんどオリコントップ3並みの、メジャーで、マスで、"国民的"に"良識的"で、Jポップで、メディア垂れ流し"最新情報"を喜ぶとされる"一般大衆"像が投影されている。そう考えると、遺伝や環境の差が大きいとはいえ、薄っぺらに規格化・統一化された人格しか醸成されてこないような気がするのはこれ、ただの妄想なんでしょうか。とまれ、それが無意識の善意であれ意図的なものであれ、"子供向け"コンテンツには大人社会の規範意識が極めて直裁に反映され、檻の中で大人しく、けれども"個性的"に鳴くような羊を量産する体制をより堅牢にしている。個性と平等を共に掲げる日本の教育理念の一端。つまり、アシッッッッッッドでスカムでコアでパンクなものが意外や意外、お子様のお気に召して親ともどもぶっとんでしまう、という構図から、大人の側の、"子供向け"(子供はこうしておけば喜ぶ/いい子供に育つ)に対する思いこみ=訓化(社会化)の根深さ、無意識裡に浸透する規律的権力、更にはデ○ズニーほかグローバリズム的力学作用の実態が浮かび上がってくるのである。この構図を熟知したうえで、経済に誘導された流行りものに依らず、自らが信じるカルチャーが切り拓く"良いもの"の視点をマスに通じるように試みた好例が「ドレミノテレビ」だと思うのだがいかがか。もちろん、この自らが信じる"良いもの"の選定には主観的な要素が極めて大きく、下手をすると善意とはいえ我が子に真言の暗謡を強要、魂を吹き込むと称して額をリズミカルに強打、などという事態に陥りかねないので注意が必要、故に日々このあたりを考えに考えて煩悶しているのであるが、ドサイケの漫画家:ジム・ウードリングの絵本『PUPSHAW & PUSHPAW』(PRESSPOP GALLERY)<http://www.presspop.com/shop/jim_woodring/jw_013.html>とか本当にカワイイと思うし子供にはどうだろう……おかざきけんじろう×谷川俊太郎の0歳児用絵本(!)『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』(クレヨンハウス)<http://esbooks.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31446160>は……と考えているうち、うひゃあ、0歳児用はやばかった。半濁音ばかりで本当にぶっとんだ。これキますよーってこんな大人ですみませんぱぱぱぱぱぱぱぽぴぴぴぴぴっぺぺっぺ。ぽぱー?

NEWS-29
「そろそろ2005モード?」
文 : NIK (PROGRESSIVE FOrM)

早いもので今年ももうあと50日弱。「2005年ももう目の前、、、」なんて会話も現実味を帯びてきました。今年1年(ともう振り返るわけではないですが;笑) 如何でしたでしょうか?

そう言えば先日、とは言えもう1ヶ月前(早いなぁ〜‥‥)無事sonarsound tokyo 2004も終わりました。ご来場頂いた方々には本当感謝です! 今年2004については諸々の反省点も多々(苦笑)ございましたが、来年につなげるべく精進致しますので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します! まだ会場は最終フィックスではないですが御期待下さいませ。と言いつつ、来月12月18日(土)には早速『パラード・エレキテル』が同じく恵比寿ガーデン・ホールにて開催されます。これは「スケッチ・ショウ(細野氏&幸宏氏)とその仲間達(?)」といったようなイメージにて行なわれる、(僕らの音楽環境に近い)エレクトロニック・ミュージックの本年度を総括するイベントになると思います。出演はスケッチ・ショウ+黒川良一(映像)+ゲスト小山田氏、半野喜弘&サポートメンバー数人+ゲスト予定原田郁子さん(クラムボン)、青木孝允、他といったラインナップでございます。※詳細<http://eee.eplus.co.jp/LULTIMO/>

そんなこんなですが、ここ最近は社長<http://www.towatei.com/>ニュー・アルバム(3月下旬の発売となりそうです)の契約・宣伝・それにまつわる諸々、その他諸々々‥‥でデスク・ワークに没頭、とんと世間様に疎くなっております(苦笑)。そんな折、シスコ・テクノ10周年を祝したセールに伴う「インデペンデント・レーベル主催者による対談」に出席して参りました。最近の僕らからすると気持ちフロア・ライクな連中との時間でしたが(とは言いつつ、世代も弱冠異なるのに割とルーツは同じだったり近かったりして;笑)情報交換もしつつでなかなかおもしろかったです。特に最近思うのですが、「横の繋がり、またその繋がりを仕事に生かす大切さ&楽しさ」を感じます。我々レーベルも単体だとなかなか難しいところもありますが、共同作業&仕事の中で生むことの出来る諸々の相乗効果を先に繋げていければと本当思います。実際、こういった流れは様々な局面における「今後のポイントのひとつになるのでは?」「CD売れない‥‥と言いつつ、結局は雇われ人のメーカーの人には無理かも‥‥」というような話しも某人などとチラホラ‥‥。いずれにせよ2005年はまたその先もおもしろい環境であることを祈りつつ、というかそのように持っていくべく。

来年2005年は「日本におけるドイツ年」です。メイン・パーソナリティは久米宏(?)。少し先ですが7月(予定)にはおもしろいイベントを企画中、こう御期待。日本独自で、かつ外に誇れる包括的なイベントもあると良いですよネ!? では。

Isn't it
『IAN GINOZAがデザインする靴』
文 : SHiURA

先日1つの小包みが届いた。差し出し人は友人のIan Ginozaからで、中には見た事の無いNikeのDUNK LOWが一足はいっていた。

Ian Ginozaはスケートシューズで有名なI PATHのアートディレクターを勤めたのち、スケートボードの世界に数々のデザインを残したのち、地元ハワイにKICKS/HI <http://www.kickshawaii.com> と言うスニーカーショップを開いた。自身のショップKICKS/HIのオリジナルシューズをNIKEと作ってしまったのが、この通称ALOHA DUNK LOW! <shiura_01.jpg>

スウェードの蛍光グリーンにNIKE初のLAUHALA(ハワイの伝統的なアミの作り方)を使用し、タグにはALOHAの刺繍。まさにハワイアンスピリットが全て入った靴と言えよう。

ちなみにこの KICKS/HIの刺繍が入った <shiura_02.jpg> ALOHA DUNK LOWは世界限定24足の激レア物。通常バージョンは残念ながら、日本では発売されない予定だが、アメリカでは12月中旬から有名セレクトショップのみの販売になる予定だ。

観光のイメージが強いハワイだが、Ian Ginoza を中心にハワイアンスピリットを持ったNEXTジェネレーションのアーティスト達が世界のデザイン/アートシーンに影響を与える日もそう遠くはないだろう。

PS.貰ったのはいいが、貴重なシューズがゆえ履くに履けなく、家に飾るのであった。

txt.Archives
『殺人の時効は15年』
文 : 大橋二郎

「昭和57年8月、松山市で起きたホステス殺害死体遺棄事件で、松山東署から殺人容疑で全国指名手配されていた元ホステス福田和子容疑者は、平成9年7月19日午後6時40分、福井市内で逮捕された。一般からの通報で同日午後、福井署が飲食店で飲食中の同容疑者の身柄を確保、指紋が一致した。逮捕時49歳」

なぜ当時の新聞でわざわざ「指紋が一致した」と報道されたかというと、逮捕時には顔を整形していたから。殺人の時効は15年。昭和57年8月から平成9年7月はちょうど14年と11カ月。この2点で福田和子は当時大変に注目を浴びた。指名手配の容疑者が名前を変え、身元を隠し、顔を整形し、約15年間まったく別の人間として生活していたというこの事は、逃亡者への哀れみはもちろんとして、何度かの挫折の末に自分が未だ実現できないでいるある事柄に対するほのかな願望も含まれている。

誰もが心当たりのあるこれまで行なってきた大小さまざまな悪行を一端リセットし、まったく違う人間として再出発しようという(最後の)チャンス。己の性格、人格、人間関係が生んだこれまで置かれた周囲の状況は、本来の自分に必ずしもフィットするものではないという強い思いを実現する最後の機会。それも社会に出る前に……。

あるコミュニティと関係を結ぶ際のその端緒を“Debut”と呼ぶならば、現在多くの日本人に訪れる最初のDebutが“公園デビュー”であるとはよくいわれる。とはいえ当然これはまだ意識も定まらない朦朧状態でのことであるから、その100%一心同体の存在としてその多くは母親のDebutである。その後に続く実質“本人デビュー”の幼稚園から、小学校、中学校、高校の各Debutは、意識的にも人格形成的にも、そして経済的にも徐々にその一心同体は剥がされ保護者の庇護が薄れ、その“当事者”は徐々に当人に移行する。このグラデーションの最末端がいま大学である。経済面は未だ別として、6回目にしてまったく遅ればせながらの(100%当人による)この新たなコミュニティとの対峙は、それまでの過去を清算し、はじめて己の理想を実践しようというSuper Freeを求めて皆意識的なハイテンションで臨む。

公園を済ませ幼稚園に上がった15年後。やっと大学に入った18の春、この最後のDebutは果たして成功するか? とはいえ娑婆に出られるのはこれを乗り切れた暁である。15年間逃げおおせたと思ったその次の瞬間、福田和子のケースでは馴染みのおでん屋を出たところでOut。理由は和菓子屋の親戚の通報とのこと。ちなみにこの石川の老舗和菓子屋には子供のころの松井選手もよく通ったという。松井のケースは大学云々とはまったく別次元でオールSafe。

『失敗しない大学デビュー』(飛鳥新社)よりΔ

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